2010年3月31日水曜日

Sunday Morning Apples 6-2

【原文】
I have seen the apples there that toss you secrets, ---
Beloved apples of seasonable madness
That feed your inquiries with aerial wine.
Put them again beside a pitcher with a knife.
And poise them full and ready for explosion ---
The apples, Bill, the apples!

【表の訳】
ぼくは、お前に幾つもの秘密を、ほら行くよといってトスする林檎をみたよ
時機を迎えて成熟した狂気の林檎を、愛すべき林檎達を
お前の様々な問いを、精霊の葡萄酒で養う林檎達を
その林檎達を再び、林檎のエキスを注ぎ貯えるピッチャーのそばに
林檎の皮剥くナイフと一緒に措くが好い
そうして、その林檎達を抱き締め、いつ爆発しても よいように
するのだ
ああ、林檎だよ、ビル、林檎はいいなあ。



【裏の訳】
次の解釈に裏の訳をしました。敢えて、一緒にまとめるとこうなります。


ぼくは、お前に数々の秘密をトスして、ほらこれがこの秘密のことだよ、
こんなに感じるだろう、それがほうらその秘密のことだよ、ここもこんなに
感じるだろうと、お前の様子を伺いながら、こうして亀頭の林檎を上げ下げし、何度も繰り返して捻るようにして丹誠込めて愛撫して摩擦してやれば、膨張して精子が溜まり、十分に大きくなった成熟したビルの林檎を、それもうっかりとお前が感じ過ぎてしまったから、そうやってその精子をまき散らすビルの林檎を見たのだ。いや、見たばかりではない、ぼくはお前の精子を飲んだのだ。

時機が来て十分熟した狂気の果実、愛しい林檎達、亀頭達よ、男色者達よ
それが、ぼくたちなのさ。

その男色者達が、そうやって刺激しあって発酵させた天上、天空の飲み物、
葡萄酒のように1年の季節のそれぞれを大切に慈しんで到頭そこに至った
精子という夢の飲み物を、この季節の成熟を求める狂気、これは自然の狂気だ、この狂気を含んだ愛しい林檎達、男色者達よ。

男色者の使用する性具の受けの中に勢い良く
勃起した男根から一挙に噴射する、その精子の受け具はそれはそれとして
その横に、やはり同じく男色者のナイフ、林檎の皮を剥く、擦りあわせると亀頭が剥き出しになるほどに剥ける男根のナイフと一緒に林檎達をまた措く事にしようぜ。

そうして、林檎達、この男色者達を目一杯にして、そうして行きたくないのに、嫌でも爆発できるように、我慢できずに、もっと快楽をむさぼっていたいのにどうしても思いを裏切って射精できるようにと、バランスよく互いの攻撃と防御が快楽の中でできるように、このとき何の苦しみもなく安心して、容易に自己に充足できるのだから、

男色者であるということは、ビル、この夏のひとときよ、林檎という奴、亀頭という奴は、本当にいいよなあ。



【解釈】
1. 解釈の基本はこうでした。Craneはwhite buildingするということです。つまり、

(1、5)
(2、4)
(3、3)

という、このような階層の構造体を建設する。これがそのまま、次の季節に関係している。

(1、5):(秋、秋)
(2、4):(春、春)
(3、3):(冬、冬)

Craneは主題をいつも白い色の中に隠す。この場合は、夏、恋人の、多分少年のSommer、すなわちsummer、夏がこの詩の主題なのだ。

さて、こうして思い出して、考えてみて、最後の連は3階層の最上位に位置する秋を歌っている筈だし、実際にそうだ。相違はどこにあるかといえば、To Brooklyn Bridgeの場合と同様に、最初の連の秋は、落ちて行く秋、最後の連の秋、同じ階層に帰属する対の秋は、厳しい冬を経て上昇して来た、登る秋というところにある。

それは、最初の一行目でわかることでしょう。つまり、

I have seen the apples there that toss you secrets

とある、このtossはやはりボールか類似の形を上に投げ上げるというそのようなモーションを指しているから。

これを裏声で訳すとどうなるか。

ぼくは、お前に数々の秘密をトスして、ほらこれがこの秘密のことだよ、
こんなに感じるだろう、それがほうらその秘密のことだよ、ここもこんなに
感じるだろうと、お前の様子を伺いながら、こうして亀頭の林檎を上げ下げし、何度も繰り返して捻るようにして丹誠込めて愛撫して摩擦してやれば、膨張して精子が溜まり、十分に大きくなった成熟したビルの林檎を、それもうっかりとお前が感じ過ぎてしまったから、そうやってその精子をまき散らすビルの林檎を見たのだ。いや、見たばかりではない、ぼくはお前の精子を飲んだのだ。

という訳になるだろう。

2.
Beloved apples of seasonable madness

Applesが頻出し過ぎだが、これは本当にCraneにとっては得難い経験であり、ひとを慈しむことの極みであったのではないだろうかとぼくは思うのだ。
だから、この一行はこう訳してみる。

時機が来て十分熟した狂気の果実、愛しい林檎達、亀頭達よ、男色者達よ
それが、ぼくたちなのさ。

3.
That feed your inquiries with aerial wine.

その男色者達が、そうやって刺激しあって発酵させた天上、天空の飲み物、
葡萄酒のように1年の季節のそれぞれを大切に慈しんで到頭そこに至った
精子という夢の飲み物を、この季節の成熟を求める狂気、これは自然の狂気だ、この狂気を含んだ愛しい林檎達、男色者達よ。

4.
Put them again beside a pitcher with a knife.

その林檎をpitcherに入れるわけだが、このpitcherの語源をWebster Onlineにてみると、やはりgobletとあるので、これは聖杯を暗示している。中世の騎士道の物語をここでも男色者達は演じているのだ。相手が男だということを除けば、求道の対象は、the puritity、すなわち純粋ということである。これが男色者達の生活の規範なのであり規準なのだとぼくは、こうして、思うのだ。だから、その行為、最低の冬の季節、射精に至る前の惨憺たる姿態、駆け引き、その陰惨を、Craneは死刑執行と呼んだのだ。どんな利害もない自殺だ。損得勘定抜きの、純粋の自殺だ。Obsequiesとは、こうしてこのように考えて読むと、そういう意味になる。段々とCraneがぼくの傍にやって来るようだ。このように平易なぼくの日本語で話、解釈し、その謎を解きあかすことができるのだから。そうして、大切なことは、暴力的にではなく、礼儀正しく、ぼくは多分Craneに相対していることができているということなのだ。これが、ぼくは人生で、あるいはこの世で一番大切なことだと思う。たとえ、Craneに会う事ができなくとも。言葉の世界で会う事のできる歓びを。

そうすると、この一行の訳は、

男色者の使用する性具の受けの中に勢い良く
勃起した男根から一挙に噴射する、その精子の受け具はそれはそれとして
その横に、やはり同じく男色者のナイフ、林檎の皮を剥く、擦りあわせると亀頭が剥き出しになるほどに剥ける男根のナイフと一緒に林檎達をまた措く事にしようぜ。

5.
And poise them full and ready for explosion ---
The apples, Bill, the apples!

そうして、林檎達、この男色者達を目一杯にして、そうして行きたくないのに、嫌でも爆発できるように、射精できるようにと、バランスよく互いの攻撃と防御が快楽の中でできるように、このとき何の苦しみもなく安心して、容易に自己に充足できるのだから、
男色者であるということは、ビル、この夏のひとときよ、林檎という奴、亀頭という奴は、本当にいいよなあ。

That Sunday, that summerという歌をぼくは歌いたい。

つまり、こうだ、

a mouthpart (as the beak of a turtle) that resembles a bird's bill

と辞書にはあるように、BillはWilhamという名前の愛称であるが、同時に小文字のbillは、亀頭という意味でも、英語でもあるのだということ。


【語釈】
0. seasonable
0.1 madness
1. toss
2. secret
3. beloved
4. inquiry
5. wine
6. aerial
7. pitcher
8. knife
8.1 spout
8.2 receptacle
8.3 elongate
8.4 knife
9. poise
10. explosion
10.1 explode
11. Bill (?)
Main Entry: 1bill
Pronunciation: 'bil
Function: noun
Etymology: Middle English bile, from Old English; akin to Old English bill
1 : the jaws of a bird together with their horny covering
2 : a mouthpart (as the beak of a turtle) that resembles a bird's bill
3 : the point of an anchor fluke -- see ANCHOR illustration
4 : the visor of a cap or hood

Sunday Morning Apples 6-1

The khairein takes place in the name of truth: that is, in the name of knowledge of truth and, more precisely, of truth in the knowledge of the self. This is what Socrates explains (230a). But this imperative of self-knowledge is not first felt or dictated by any transparent immediacy of self-presence. It is not perceived. Only interpreted, read, deciphered. (Dissemination > Pharmakon by Jack Derrida)

自己を知るために、主語である支配者の秘密を知るために、今日も言葉の聖杯探究の旅に出よう。

【原文】
I have seen the apples there that toss you secrets, ---
Beloved apples of seasonable madness
That feed your inquiries with aerial wine.
Put them again beside a pitcher with a knife.
And poise them full and ready for explosion ---
The apples, Bill, the apples!

【表の訳】
ぼくは、お前に幾つもの秘密を、ほら行くよといってトスする林檎をみたよ
時機を迎えて成熟した狂気の林檎を、愛すべき林檎達を
お前の様々な問いを、精霊の葡萄酒で養う林檎達を
その林檎達を再び、林檎のエキスを注ぎ貯えるピッチャーのそばに
林檎の皮剥くナイフと一緒に措くが好い
そうして、その林檎達を抱き締め、いつ爆発しても よいように
するのだ
ああ、林檎だよ、ビル、林檎はいいなあ。



【裏の訳】
明日訳しましょう。お楽しみに。
あなたも裏声で訳してみて下さい。メールをお待ちしています。




【解釈】
これも明日、つれづれなるままに。


【語釈】
辞書はいつもながらWebster Onlineです。

0. seasonable
0.1 madness
1. toss
2. secret
3. beloved
4. inquiry
5. wine
6. aerial
7. pitcher
8. knife
8.1 spout
8.2 receptacle
8.3 elongate
9. poise
9.1p poise
10. explosion
10.1 explode
11. Bill (?)

Sunday Morning Apples 5

今日は、Jack Derridaから始めよう。移動書斎の中でDisseminationを読む。その中のPharmakonを。

今という時間を止めることができない。しかし、それは何故だろうか。この問いに、人間のすべの苦しみや悲しみが宿っているようにぼくには思われる。

The khairein takes place in the name of truth: that is, in the name of knowledge of truth and, more precisely, of truth in the knowledge of the self. This is what Socrates explains (230a). But this imperative of self-knowledge is not first felt or dictated by any transparent immediacy of self-presence. It is not perceived. Only interpreted, read, deciphered.

自己を知るために、主語である支配者の秘密を知るために、今日も言葉の聖杯探究を始めよう。


【原文】
A boy runs with a dog before the sun, straddling
Spontaneities that form their independent orbits,
Their own perennials of light
In the valley where you live

【表の訳】
太陽の前で、ひとりの少年が一匹の犬と一緒に走っている
遊戯をし、戯れるので、それぞれが互いに独立した円を描いていて
その軌道は形成する様々な自然の動き、自発的な喜びに股がって
恰も馬を駆るように  そうして、つまり、
お前が住む谷の光の持つ、少年と犬のそれぞれ自分自身の一年の四季に
股がって

【裏の訳】
太陽の役割を演ずるホストの男色者、この死刑執行者の眼前で
うぶな可愛い少年が、その魅力に惚れて犬のように従順になっている
人間の神、そのような年長の男色者と一緒に運行している。
それぞれの独立した、何ものにも従属することのない軌道を形成しているのは
その自然の姿態でありモーションの数々で、黙っていても腰が自動的に動くのさ、いわば馬に股がるように、両脚を開いて尻を上げながら、つまりお前の生きている男色街のその男達の尻の中に差すその光、夜明け前の薄暮の光を、そのビジョン、この世にはあらぬ土地で、一年中春夏秋冬相も変わらず、それぞれ自分の尻を性交ごとに立たせながら

【解釈】
1. ひとりの少年が犬と戯れている様を書いているのが、この連の第1行。A boyは、そのAから、既に恋人の少年を指している。だから、こうして解釈すると、これはWilhelm Sommerのことだとぼくは思う。A dogとは、これも犬のような人間としての男色者と、自分を卑下し、自虐的に犬に喩えたのだ。しかし、この犬は主人が必要で、いや犬と主人はいつも対の言葉であるから、ここでの主人は、隠れたる太陽、すなわち男色者ふたりに対する命令者なのだ。太陽系の運行の中心人物、支配者である。
2. Craneは、言葉遊びを、勿論よくして、a god、すなわち人間の、その少年にとっての神をひっくり返してa dogと呼んだのだとぼくは思う。同じ言葉遊びを、Craneはよくする。同じWhite Buildingsの中の、以前未完で翻訳をそのままにしているBlack Tambourineの中の第2連は、Aesopで始まる。これはイソップ物語のイソップ。しかし、この詩人の場合は、最初の文字が大文字のAであることに意味がある。これはLoftのA。AssのA、尻を持ち上げた、男女を問わぬ人間の姿である。これを別な言い換えで、tentedとその状態をいっている。すなわち、テントを張るということは、三角形の形に尻を突き出すことを意味するのだ。

このAesopは、dogと同様にひっくり返すと、Pose Aとなる。Aの姿態をとるという、その姿勢の意味である。そうぼくは解釈する。
3. Straddlingは、Webster Onlineによれば、またしてもstrideであるので、これはTo Brooklyn Bridgeにあったように、太陽の性的モーションを指している。それに合わせて、queingしているその他の惑星、celestial bodiesは、side stepを踏み、円を描いて、周行するのだ。
4. Perennialは、同じ辞書によれば、ラテン語のper annus, throughout yearという意味であるから、annusとあるように、これは尻毎にという意味を裏に隠している。そうして、表向きには、一年を通じてといっているのだ。Craneの詩は、表も裏も縁語だらけだ。この1年の四季は永遠に回帰する。
5. 上記2にあるような同じ言葉遊びを、詩人はここでもしている。というよりは、これは当時の、そうして多分今も英語圏の男色者達のjargon、隠語なのだとぼくは思う。それが、valleyである。Vはここでは小文字であるが、これは、同じ詩集の中のEmblems of Conductの第1連の第2行目のThe uneven valley gravesとあるvalley。それから、Passageという詩の第4連第3行目のVine-stanchioned valleysとあるvalleyと同様に、そうChaplinesqueを思い出してもらいたい、そこの第5連にあるlonely alleyのalleyを。V-alleyは、Aを転倒させ倒錯させたalley、すなわちvalley、更にすなわち男色者の尻の谷間という意味なのだ。だから、こうしてChaplinesqueからいっても、更に第3の意味は、男色者達の集う街、男色街という意味が、このvalleyなのだ。

辞書に戻ると、an elongate depression of the earthユs surface usually between ranges of hills or mountains, an area drained by a river and its tributariesとある。Earthユs surfaceが既に、地球の役割を担う、太陽に直かに接し、月を後ろに従えた男色者の役割、またはその役割を演ずる男色者の異名である。

6. Lightも日常では平凡な意味に堕しているが、詩人という存在の素晴らしさは、その言葉を源に遡って考え、またこの世に戻って来るということなのだ。同じ辞書によれば、lightとは、something that makes vision possible, the sensation aroused by stimulation of the visual receptors、さらに同義語でDAWNとあり、DAYLIGHTとある。光とは、薄暮であり、薄明であり、真昼の光でもあるのだ。そうしてまた、TRUTH。

【語釈】
1. straddle
2. spontaneity
2.1 spontaneous
3. orbit
4. perennial
5. light
6. valley
7. live
8 : to have a life rich in experience
9 : COHABIT

Sunday Morning Apples 4

さて、こんなことから今日は書きはじめようと思う。同じWHITE BUILDINGSの詩集の中からのRECITATIVE の一篇。第4連と第6連である。

第4連の最後の一行:

And gradually white buildings answer day.

そうして1連飛ばして、第6連:

The highest tower, --- let her ribs palisade
Wrenched gold of Nineveh; --- yet leave the tower,
The bridge swings over salvage, beyond wharves;
A wind abides the ensign of your will . . .

この詩のwhite buildingsと、towerに着目して欲しい。前者は、こうしてみるといつも複数形である。後者は、これはTHE BROKEN TOWERという詩もあるように、これはやはり、WHIE BUILDINGSそのものなのである。このRECITATIVEという詩を論じることは、また後日としたい。例によって、この題名は2重の意味があり、またその裏の意味、いや真の意味というべきか、それは、RECITATIVE形容詞という品詞であるということに大いに関係のある筈だ。この詮索は後日としよう。同じ品詞と意味の組み合わせを、ぼくたちは、GARDEN ABSTRACTという詩の題で論じることになる。すなわち、このGARDENが動詞か名詞かという問いに対して、それぞれの正解があるのだ。WHITE BUILDINGSの中のFOR THE MARRIAGE OF FAUSTUS AND HELENのIIの最後の連の最後の3語が、the gardened skiesなのである。GARDEN ABSTRACTに歌われた当の歌の中身が、そのままそうである、そのようにさせるGARDENという動詞の意味なのだと思う。それでは、gardenされた複数の空とは何か。すべてCraneの言葉は暗号のように見えるが、それはそうだろう、当時であればなほ、男色は禁色であったろうからである。Chaplinesqueに歌ったように、法律に従うのでもなく、金儲けなのでもない、すなわち嘘ではない行為、それがChaplinesque、つまり、Chaplineユs que、男色者の尻にペニスを入れての数珠連なりなのだ。そうして太陽のstrideに合わせてサイド・ステップを踏む。

何が言いたいか。TowerもBridgeも、男色者達の性の営為のformationだということが言いたいのだ。前者は垂直方向の、後者は水平方向の。後者の詩は、既に論じたように、The Bridgeの中のProemたるTo Brooklyn Bridgeに明らかである。それは、beadsであり、queであり、男色者達が数珠連なりになる、太陽の役割の男に支配される、苦しみと歓びの世界と再帰的・自己鏡像的な死刑執行の世界である。そのmotionを。さて、これに対し、前者は、Towerというのであるが、それは、一体男色者達がどのように塔を作るのか、塔と今僕は日本語でいうが、その日本語でいう概念が果たして、英語のtowerかというと、既にして明らかなように、それは、言語の本質からいって、実際にもそうではないのだ。詩人は、この同じ概念だと思われるものを、幾つもの詩の中で、altitudes、緯度と言い換えている。さて、そうであれば、それはどうであるのか。垂直方向の、この性の営為の理解と解釈には、ぼくはもう少し時間を必要とする。男色者達は別に騎馬戦をしたわけではないだろう。幾つかのキーワードを使ってGoogleで検索すれば、この間のbalooningやloftのように、男色者の写真が現れて、一目で直ぐにわかるのかも知れないが、それではぼくには少しも面白くはないのだ。でも、興味のある読者は検索してみるとよい。結果をお知らせ下さい。それから、そのときのキーワードも。如何か。


【原文】
Into a realm of swords, her purple shadow
Bursting on the winter of the world
From whiteness that cries defiance to the snow

【表の訳】
剣の王国へ、すなわち自然の紫色の影の中へと成長するのであり、
世界の冬の上でこそ時満ちて一挙に春になり芽吹くのである。雪の白色に挑戦し、これに戦って雄叫びを上げる、汚れなき無垢の白さから破裂して。

【裏の訳】
さあ、剣の王国、騎士達の国へと飛び込む、そのような挑戦があり、つまり、ペニスの男色者王国、満足の言葉を漏して絶頂に達するあの王国の中へ、高度の修辞に満ちた高貴な自然の紫色の影の世界、聖なるものを侮辱し、濫用する世界、ぼくたち男色者の避難所、影であるがゆえに、どうしても我が身と分ちがたい数珠つなぎの世界へと勇気を以て飛び込むのだ。そうして、男色者の世界の冬の季節、すなわち宇宙の星辰のシステムに則った運動によれば、夜が長く昼の短い、ペニスの萎えた季節の上へと直かに、満足の果てに射精をする。しかし、その季節の色は白なのだ。この色は、汚れのない純潔の白なのであり、冬の単なる雪の白い色に、そう、今この瞬間この時にだけ満足していればよいという、そのような見せ掛けのうつろい行く儚い白い世俗の一瞬の白色なのではなく、これに挑戦して戦いの叫びを上げる、そうしてそれが快楽の叫びである純潔純白の白、その抽象的な色の白さから、女性たる自然の紫色の雪上の影を高度な修辞と比喩の体系を、永遠の歓びの声を上げて、そうやって射精とともにペニスから吐き出すのさ。


【解釈】
1.a realmは、不定冠詞が付してあるので、これはAの意味から、既にTo Brooklyn Bridgeで説明したように、男色者の意味である。従い、これは男色者の王国という意味。
2.Swords。これも実は剣であって、もし裏の訳ならば、一目男根の形象なのであるが、最後の行のsnowと相俟って、僕には、更にもうひとつ奥の意味があるように思われる。実は、ここまで読むと、これは深読みのし過ぎであるのかと思うのであるが、それでもいってみずにはいられない。

Chaplinesqueの第3連にits puckered index toward usという文句あり、そこにindexという言葉がでてくるが、これは、多分この詩の解釈をする際にも論じたことだけれども、男色者達が、AはAppleのA、AはAssのA、AはAnusのAとか、またPはPenisのPといったように、indexを持っていて、それを性行為の指示や命令や連絡や、要するに本当に幸せな意思疎通、お互いに疑うことなく意志と意味の通じ合う歓びに身もこころも任せるときに発した隠語というべき符牒なのだと思う。

下にある語釈のSまたはsを見ても、性行為の姿のSなのか、何かいわば男者の辞書というものがあって、そう、男色者用語辞典があって、Sはアルファベットの19番目の文字だということに意味があるのかも知れない。今ここで何か思うことができるのは、その語釈の意味の中で、abbreviation for satisfactoryとあることだ。

つまり、swordsとは、the words that are satisfactoryであり、snowとは、NOW that is satisfactoryという意味である。だれにとってかというと、それは男色者達、すなわちthe worldに住むgay達にとってである。Chaplinesqueの第2連で同じ語を解釈したように、それは定冠詞のあることからも男色者の世界だということをぼくは言った。勿論表の意味は、世界である。

つまり、swordsとは、満足のゆく言葉、ああいいという満足の言葉、快楽の言葉という意味であり、snowとは、やはり満足のゆく瞬間、この今という時間、溜め息の漏れる、沈黙の今なのであるとぼくは思うのだ。

同じことは、C_33のCについても、実は、言えるのだと思う。このことは、更に後日論ず。

【語釈】
辞書はいつもながら、Webster Onlineです。ぼくが見つけた意味以外にもまだ隠れた意味がある筈。どうかご自分で言葉の聖杯探究をして下さい。

1.s
2.Realm
3. swords
4. purple
4.1 profanity
4.2 profane
5. shadow
6. burst
7. winter
8. world
9. whiteness
10. cry
11. defiance
11.1 defy
12. snow

Sunday Morning Apples 3

さて、今日は、昨日に引き続き、次のwhitel buildingのうち、第2連、たった2行の短い連、すなわち2階の春へと階層を降りて行くことにしよう。

(1、5):(秋、秋)
(2、4):(春、春)
(3、3):(冬、冬)

このwhite buildingをみて直ぐのぼくの疑問は、何故秋からすぐに春へと行くのか、何故冬を過ごしてから春にならないのかというものでした。Craneの詩の構造は、To Brooklyn Bridgeに典型的であるように、最下層の階層は、世間の性道徳から見れば男色者の地獄である。こうして性道徳などという言葉を書いてみると、この言葉も変な言葉である。性に道徳はないからであり、道徳が性から生まれるからである。

さて、この3階層の最下層、すなわち1階は、その男色者の死刑執行の儀式、まったく純粋の、何かの対価を受け取ることのない死の季節、罰せられる地獄の季節である。この詩では、それが冬なのだ。

しかし、まづ、詩人の導きの糸を手探りしながら、ぼくは、この迷路を進むことにしよう。

こうして、また新たな稿の筆を執り、この数日毎日机に向かい、こうして同じように文章を書いていると、これがぼくのとても大切な仕事なのだと、しみじみと思われる。

とは、いいながら、この詩を構成するこの少数の語彙をみて、語釈に引用したWebsterの説明をみて、ぼくは、その意味の多義的な幾つものcontextの存在に気付き、今また溜め息をついた。1行のto springのspringは、春へと、あるいは春においてという意味もあるが、これは名詞の場合の意味であり、to springを不定句ととれば、それは飛ぶということになり、この動詞のspringも、下の語釈をみれば、男色者の性行為もあれば(Chaplinesqueを思い出してほしい)、Craneの大好きな帆船の比喩もあれば、Springには、To Brooklyn Bridgeの最初に詠われたDAWNという意味もあるのだ。Dawnとは何か、to begin to blow。LegendというWhite Buildingsの中の詩の第4連第2行にthe smoking souvenirとあるが、この場合もそうであるように、ハバナあたりの土産の葉巻きを吸うように、男の性器を口にくわえてスパスパと、それがARISEして大きくなるように、to grow as a plantのように大きくなるように、そうしてその樹木が成長して、林檎の実がその頂きにたわわに成るように、つまりは実りの秋を迎えるようにと、そのようにするのが生命力溢れる春なのだ。そうしてその行為が春の行為、動詞としての活動なのだ。



【原文】
But now there are challenges to spring
In that ripe nude with head
reared

【表の訳】
しかし、今この秋にこそ、春への挑戦というものが色々と胎動しているのだ
この木の葉がすべて散り落ちて裸になり、そうして
その頂きが垂直に立っている その姿の中には

【裏の訳】
しかし、今は、さあ、攻撃と防御の競争をしようぜといって
正当な要求をお互いにぶつけ刺激をしながら、男性の生殖器が植物のように
大きく成長することが何度も幾つもあるのだが、それは
あの、十分に大きくなって成熟している裸のもの 立派に上を向いた
亀頭を備えた剥き出しの一物が、相手の言うことに逆らわずに無理強いに耐えてでもとる柔軟な姿勢をとりながら、最後に射精をするために、そうするのさ

【解釈】
1. 冒頭の文章が既に解釈になっている。
2. さて、何故rearedがこんな位置にあるかということであるが、これはこう
うことではないだろう。rearedの次の行は、このようなものである。


In that ripe nude with head
reared
Into a realm of swords, her purple shadow

このような配列の詩は、他にもあり、ここでの解釈が他でもそのまま応用ができるかどうかわからないが、ぼくはここではこのように考える。上の配列を見ると、次の意味の集合がある。

(head, reared, shadow)
(reared, purple)

つまり、前者のように斜めに集合をつくるか、それとも後者のように一番近い言葉同士のみに意味の関係の親近性を求めるかという、このふたつである。

これは、裏の意味としては、両方を合わせて考えるのがよいのではないだろうか。つまり、亀頭が屹立するほどに男根が立ち、その影は、冬の自然の常として、雪地の上には紫色の影を映じるのだ。そうしてまた、今日も移動書斎にてあちこちを散見しながら、裏の世界での、Craneの色彩の使い方をみてみると、次のようなことが解る。

(秋、gold,purple?)
(夏、?)
(春、green)
(冬、white)

ぼくがこれを見つけたのは、同じWhite Buildingsの中の詩、FOR THE MARRIAGE OF FAUSTUS AND HELENのIIの第2連に、White shadowとあったからである。

また、上の色彩の階層は、そのまま男色者の性行為の中の四季を詠っているので、たとえば、性器が小さい芽から大きな樹木に成長し、立派な亀頭の林檎の実がなるまでの季節のそれぞれに、それぞれに相応しい色彩を配している。紫、purpleがどれにあたるのか、今はぼくはわからない。それは、やはり高貴な色、最高位の色であるのだろう。

話が今日の題からいささかはづれるようであるけれども、性器が小さい芽から大きな樹木に成長するときの、そのような男色仲間をbud(芽)であるが故に、Buddhasと読んでいる。仏陀の最後の2文字は、言うまでもなく、尻の穴のことである。十字架のCROSSという詩のこの題名も、小文字で詩中に出て来る場合でも、Craneの背徳的、冒涜的に割り当てた意味は、それぞれ男色者の性交であったから、仏陀も同様の意味を以て使われている。天使、Angelもまた、そうではないかと思われる。

実は、語釈を読んでみると解るように、このたった3行を、裏の訳で訳すにせよ、多くの解釈を論じることになるのだが、これは先々の楽しみとして、またこの行に戻って来ることにしよう。上の訳は、平凡なものかも知れないが、まづは、今日はこれでよいとぼくは思う。

【語釈】
語釈はすべてWebster Onlineから。このweb上のdisctionaryを参照下さい。

1. challenge
2. spring
3. ripe
4. summer
5. autumn
6. fall
7. winter
8. nude
9. head
10. rear

Sunday Morning Apples 2

まづ昨日の推察を修正しよう。Appleが男色者の仲間を指すということは述べた。これを更に詩人は多義性を持たせて、the appleを何だといったか。昨日のぼくの推測では、睾丸としたのだが、これは間違いだと思う。そうではなくて、日本語でいう亀頭を林檎に見立てたのだ。その方がずっとよく詩を読むことができる。To Brooklyn Bridgeの第6連第2行のrip-tooth of the skyユs ascetyleneのrip、確かに林檎は歯を立てて齧るものだ。男色者が、アセチレンの地獄の炎で焼くような痛みを伴う愛撫をその亀頭にする、そのことを林檎に見立てて、いつもripと縁語にして、Craneは、いや英語圏の男色者達は、an apple, the apple, applesを愛でるのだ。

何故Craneは、詩集The Bridgeの第2部、II Powhatanユs Daughte中の題名の一つをVan Winkleとしたのだろうか。それは、Rip Van WinkleのRip、即ち亀頭たる林檎を隠していいたかったからだ。この詩の第4連がすべて斜字体で表記されていることは、意味のあることだ。RipとVan Winkleを敢えて二つに分けて、Craneは、それぞれを主語に立て、男色の無償の歓びを詠っている。

さて、また、この詩の題名、Sunday Morning Applesとは、更に考えてみると、Apples that are mourning Sundayという意味となり、これは、この詩を歌う人間が、太陽の役割を演じて日曜の朝になる、そのようなSun-nightが終わり、朝になってしまうことを嘆き哀しむ男色者達という意味になるのだ。

さて、この詩のwhite buildingの構造を考えることにしよう。これは、既にTo Brooklyn Bridgeにおいて、十分過ぎる位に考察したものであるが、今や、この経験と知識が、すべてのCraneの詩に活かされることをぼく達は知ることができる。

(1、5)
(2、4)
(3、3)

という3階層の構造物が、この詩の構造であった。さて、またそれぞれの季節はどうだろうかと考えてみる。Craneは、男色者達の性の営為に春夏秋冬を擬しているからだ。その連の言葉から季節を拾って見ると次のようになる。

(1、5):(秋、秋)
(2、4):(春、春)
(3、3):(冬、冬)

そうして、やはりTo Brooklyn Bridgeの場合と同じように、最初の3階層の秋から始まり、その下の階層の春へ、そうして1階の最初の冬へ、更に同じ層の二つ目の冬から二つ目の冬へ上がり、その冬から二つ目の春へ、その春からまた2つめの秋へと3階層に戻り、循環する、そのような季節が巡っているのだ。

おや、それでは、夏がないではないかと読者は思うだろう。しかし、朱夏は、既に題名の直ぐ下に、To William Sommerという名前としてあるのだ。Sommerとはドイツ語で夏、英語のsummer である。このように考えて来ると、Craneは、この恋人の名前にこそ最初に惚れたのではないかと思われるほどだ。何故なら、そこには、男色者達の性の営みの四季のひとつをcelestial bodyとして現出しているからだ。

To Brooklyn Bridgeがそうであったように、上の階層から下の階層へと詩人は落ちて来て、最下層の世界で、再び上昇の機縁を得、最下層から最上層へと生命力豊かに登って行くのだ。この詩も同様であると考える。

最初の3階層の秋、即ち第1連は、そうしてみると、やはり、落剥の秋、樹木の落ちる秋である。それに対して、冬を通り抜けてきた第5連の秋は、実りの秋となっている。御覧あれ。勿論訳には、表の訳と裏の訳があることは、言うまでもない。

【原文】
The leaves will fall again sometime and fill
The fleece of nature with those purposes
That are our rich and faithful strength of line.

【表の訳】
樹木の葉は、いづれはまた落ちることになり、そうして
自然の、やわらかい毛で織られた 落ち葉の織物を満たすのは
その織物の 生命力に溢れた糸の持つ、わたしたちの豊かで実り多き 自然の規則に忠実にその義務を果たすことのできる強靭さを以てなのだ

【裏の訳】
男の精液がいつかは男色の時間に耽っていると、再び落ちて、
自然の毛で織られた織物を一杯に満たすのだ。それは
自然の運行に従って、太陽と地球と月の天球の関係を一線に配置して
それゆえにぼくたちは実り豊かになり、互いに忠実で、互いに満足のゆくようなこと、それが目的であり、同時に様々な姿態をよろこんで相手のためにとり、攻撃と防御の役割を演じて 一体いつまでホストの攻撃に射精せずに我慢できるかと 快楽をできるだけ先延ばしにして そのゲームを堪能することによってなのだ。


【解釈】
1. 落ち葉が落ちる。木の葉はいつかは地面に落ちる。落ちて、また豊かに、季節を迎えて、成熟し、果実を身につけるためなのだ。Lineという語の意味を語釈でみるとそういう意味になる。更に、lineにはropeという意味もあるから、The Broken Towerという詩の第1連第1行の The bell-rope that gathers God at dawnのropeも同じ意味であると考えられる。この詩については、また別に稿を改める。

2. richについては、Craneの処女作、C 33の第2連に、to enrich thy gold headとあり、この場合のthy gold headは、ここでいうapple、ペニスの亀頭であると読むことができる。つまりなにをいいたいかというと、enrichとは亀頭たる林檎を実り豊かに大きくするという意味だということ、これが裏の意味だということがいいたいのだ。

3. sometimeとは、やはりsomeということから、これは男色の時間という意味であることは、既にTo Brooklyn Bridgeで述べた通り。

4. Purposesは、pur poses、すなわちpro-posesであるとぼくは思う。つまり、様々な姿勢を専らによろこんでするという意味。

5. このようになってくると、fleeceとは、男色者が使用するblack tambourineやChaplinesqueの山高帽がそうであるように、これは性具である。柔らかなbalooningのための、男性器を決して傷つけない、女性のpackageのように開かれないで、parcelのように男性のペニスを柔らかく包んでくれる織物のことである。

6. leafが男色者の隠語の世界で何を意味するかは、今は解らない。もう少し様子をみることにする。まづ、leafの形をしたものがあるのだろう。あるいは、秋になるとハラハラと樹木、たとえばthorny treeから落ちるもの。と考えてくると、これは精液のことではないかと連想される。その色は白だ。そうして、冬がやってくる。

【語釈】

1. fleece
2. rich
3. faithful
4. strength
6. line
7.leaf

Sunday Morning Apples

White Buildingから、この詩を読んでみよう。読んでみようとは、解釈してみようということだ。しかし、他方ぼくはHart Craneの詩の秘密に触れているので、あちこちの詩に言及しならが、この詩を読むことにしよう。

いつものように題名から。Sunday Morning Appleとは何か。Craneの題名は、いつも表と裏とふたつの意味が掛けてあるのでした。もしこれだけで解らない方は、以前のぼくのTo Brooklyn BridgeやChaplinesqueについての論を読んで下さい。

表の訳は、日曜日の朝の林檎という題名.裏の訳は、男色に耽って日曜の朝を迎えた男色者達という意味だ。もっと正確に言葉を費やすと、Sundayとは、宇宙の運行でひとつのlineを成す、sun, earth, moonのうちのsun太陽のことをいう。これがhost役、男色の営為の中心であり、その太陽の周りを地球と月が廻る。地球はside stepを踏むのだ。太陽は命令者である。さて、そのような役廻りを演じたのはHart Craneだろうか、それともこの題名の下に斜字体で書かれているWilliam Sommerという恋人だろうか。Toとあるので、これは男色者を指す。それもCraneにとって価値ある、飛び切りの仲間のことだ。To Brooklyn BridgeのToがそうであったように、この男の恋人の前置詞も、いやその名前丸ごとが斜字体である。相当な、Crane流の言い方を真似すると完璧な恋人、perfectな仲間なのだろうと思う。つまり、絶頂に達して声なく、沈黙の世界を醸成することのできる親密な数少ない本当の仲間のひとり。同じ詩集にあるLegendの第4連第1行にあるモa perfect cryモと叫ばしめる恋人なのだろう。

Sun-eartch-moonというとなんということもないが、しかし、これは英語で言い換えるとcelestial bodiesだというと、神聖で、またbodyということからも実に具体的に臨場感を以て、男色者達の言はむとすることが感じられるのではないだろうか。実は、Chaplinesqueをあらためて読み、また他の幾つかの詩から、男色者達は、男色の営為の中に、このような天球の配置を考えるとともに、西洋の騎士の叙勲の儀式を真似て性行為として執り行っているのだということを僕は知ることができた。だから、Chaplinesqueの第5連、最後の連にある、a grailも、gaietyもquestも、宮廷で旅の途上の騎士、聖杯を求め、女性を崇拝してそのために死ぬことも厭わぬ、純潔の男達として、その比喩をふんだんに使って、女を排除した男だけの世界を創造しているのだ。それは、このように、またこの文章のあちこちに見られるように、言葉と概念と比喩の体系を実際に自分の肉体で実感しながらの、それはgayなのであり、through all sound of gaiety and questのgaietyなのである。Gayとはそのような知的な歓びの世界なのだ。Joyなのではない。

さて、さらに、この場合、そのようなSundayを、いやそのようなSun-nightを演出したホストはいづれかであろうか。詩の中に入っていくと、これはBillがsunなのだろうと思われる。そうして、Chaplinesqueの第4連第3行にある通りに、太陽は、obsequiesを執行したのであろう。Crane詩を読むと、hostとguestは役割が交代できるので、互いに自分の似姿を見ることになるのだろう。そのような自在の境地をCraneはこの恋人とともに分ちあった筈である。

Appleとは何か。PPLEは、peopleの略号表記である。従い、Appleとは男色者仲間、男色者達という意味である。Aは既に男色者を意味すること、それは何故かは、To Brooklyn Bridgeで論じたので、ここでは触れない。

つまり、Sunday Morning Appleとは、自分が太陽の役割を演じて男色行為に耽ることのできて迎えた朝、その朝の男色者達という意味である。

上に言及したGarden Abstractの第1連の出だし、

The apple on its bough is her desire, ----

このappleも同じである。しかし、Craneは一筋縄では行かない。これ定冠詞を付けて、やはり語義に戻り、林檎に似た男の体の一部を指しているようである。わたしは睾丸であると思っているが、それも詩を読み込むに従い、解ることだろう。詩の中に、よくappleをtossするという言い廻しが出て来るが、これも男色者達の隠語なのだと思う。例えば、Legendeという、White Buildingのlegend(こちらは末尾のeがない)という詩と別の詩の第1行は、

The tossing loneliness of many nightsと始まる。

Tossingするその目的語はballであると思われる。男の自慰行為をこのように表現しているのだ。それは、その次に続く第2行が、

Rounds off my memory of her

と続くので間違いがないと思う。

また、しかし、このherも曲者で、上に引用した

The apple on its bough is her desire, ----

このherと同様に、場合によっては、これが男性であることがあるのです。このGarden AbstractではCrane自身のことを指していると読めるが、その詩の中では、男たるものが樹木の女に変身をする。その場所がGarden Abstractである。この庭、gardenというモチーフは頻出する。家ではなく、庭に生きる空間があるのだ。

そうして、この場合、boughとはbowであるから、男色者が性行為をするとき屈曲した姿勢、Chaplinesqueで第4連2行にany pliant caneと書いた姿勢である。そうして、さて、The apple on its bough is her desireとは、そのthe apple on its boughのitsがappleを指すことからいっても、the apple on its boughとは、tautologyの関係となる。この自己鏡像的な姿が陶酔の源なのだとぼくは思う。The apple on its bough is her desire、この一行を味わって貰いたい。

さて、そうして何故庭なのだろうか。そこに樹木があるから。Craneが世にでることになった最初の詩、その題は、C 33という。この詩の題名の解釈もまた以前の文章の中で解釈したところであるが、更にもうひとつを付け加えれば、この詩の中、第1連にあるthorny treeとは、勿論この詩の中でCraneが17歳で男色を教えた相手の少年に与える苦痛がthornyなのであり、そのthorny treeの持ち主がCrane自身なのだ。もちろんこの樹木は、ここでは薔薇の木であるが(何故男色者が薔薇に連想されるかは後日論じよう)、こうして読んで来るとお判りのように、C 33の33の裏の意味は、thirty threeという発音であり、それはそのままthorny treeという意味なのである。実際に発音されるがよい。CはCraneのC。しかし、多義的にこの17歳の若者はその天才を発揮する。See a space 33!このA space、すなわち男色する場所にあるthorny three、僕の汚れなき純潔のペニスを見よ!と。A spaceとは、その定冠詞からいって、男色の場所という意味である。C33ではなく、C_33とした所以である。

ぼくは、今日も移動書斎にてCraneの詩のあちこちを往来して、確かにThe Broken TowerでCraneがthe matrix of the heartと詠んだ心臓のマトリクスを更に発見した。その中に色彩のマトリクスがあった。ぼくに既知のこととしては、方位、宇宙の星々のシステム。そうして、これらの組み合わせのマトリクスも。

The matrix of the heartとは、the matrix of the Hart、すなわちこのHart、俺様の、何を差し置いてもこの僕自身のマトリクスといっているのだ。それが心臓のマトリクス、生命の、生きていることのマトリクス、すなわちHart Craneの宇宙である。

White Buildingがどのような構造を備えているかは既にTo Brooklyn Bridgeのところで述べた。この詩もWhite Building中の詩なので、そうなっている筈。そう読むのが正しいだろう。そうすると、この詩のmatrix、white buildingは次のようになる。計5連からなっているので、

(1、5)
(2、4)
(3、3)

3階層のwhite buildingである。この3階建ての建築物をみて行くことにしよう。しかし、既に僕達は、To Brooklyn Bridgeを読みこなし、日本語の世界に嚥下咀嚼した。その財産を活用することにしよう。

そうして、庭にある薔薇の木ノ.いやいや、これらは順に論じよう。今日ここでこの稿で書くべきことは、Craneは、男色者の性の営為を春夏秋冬に擬したことである。しかし、これも男色者の相当な知性の賜物なのだとぼくは思う。この季節の交代をseasonといい、また形容してseasonableとe詩人はいっているのだ。The Matrix of the Hart! この四季と天球達の組み合わせ、それに色彩のマトリクスを掛け、男と女の変身を現出させ(To Brooklyn Bridgeで最初の女神が男になり、男の神が女神に永遠の大循環をしていることを思い出してほしい)、この濃密な文体を創造するのだ。

Chaplinesque再び(第3連)

第3連を読む。今日は1万文字を1693文字超えたので、語釈は相当削りました。ウエブスターをご覧下さい。

〔第3連〕
We will sidestep, and to the final smirk
Dally the doom of that inevitable thumb
That slowly chafes its puckered index toward us,
Facing the dull squint with what innocence
And what surprise!

〔表の訳〕
僕達は、正面から当たらずに、身をかわそうとし(あるいは、身をかわして、サイドステップを踏み)、いよいよとなったら作り笑いの最後の奥の手は、僕達がどうしても逃げようのない、あの権力者、そいつが古臭て黴のはえたような(愛情も無くなってしまったように)カサカサに乾いて皺のよった(法律書の)見出し、社会の絶対分類指標(”お前達が幾らどうなっても、こいつは変わらないのさ”といわんばかりに)、その皺を何度も何度も、僕達に向けて、ゆっくりと(嫌みたっぷりに)、これ見よがしに延ばして見せるあの権力者の制定した法令という奴(”ほら、ここには、そう書いてあるだろう!”)、こいつを、性的な比喩も交えて言葉遊びで洒落のめし、解釈に時間を掛けさせて、軽くいなして取り引きすることだが、しかし、鈍感で、反応も遅くて、精神的な斜視に、今度は直面するのは、僕らの方だ。それも何という無知蒙昧、何ってこった、ここまで酷いのか(僕らの冗談が通じないのだ)。

〔裏の訳〕
僕達、地球と月の役割を演じる男色者は、色を金に換えて、太陽たるホストの腰の動きに合わせてサイド・ステップを踏みたいと思うが、いやそうして、しかし、僕達太陽の支配下にある若い男色者たちに、その権力者の皺のよってよれよれのペニス、最初の宇宙の名前、アルファベットの秩序に従い最初のA、次がB、そうしてCという順序で書いてあるその権力者の最初のアルファベットの文字、尻の穴のAをその親指でしごかれること、これは避けられないことさ、さてこいつは、そうしておいて今までの男色人生で使い古した自分のP、ペニスを両手で摩擦して暖かくしてゆっくりと大きくしながら僕達の尻に押し付けてくる、この避けがたい親指、僕達の尻の穴に挿入する親指の、好きでする相手ではない金のためなのだから、死刑執行のその判決文と性的な遊戯であしらいながら、しかし、ついには合わせてへつらいながらいってしまうのだ、その間抜けなしかし快楽の阿呆面をして。しかも、奴のその、このような行為を罪とも思わぬような無知蒙昧、それから何たる腰の遅い、合わせるのも下手糞な、目も悪くてずれてばかりいて男の性交も満足にできぬ、そうして何の予告もしないで突然と突いてくるような拙劣で何と下手糞な野郎だ、こいつは!


〔解釈〕
(1)Weとは、earth and moonであるわたしたち。Inevitable thumbは、権力者たるsunのホストの親指という文字通りの男色行為に必要な指の名前。
(2) doom。死刑の判決を下すのは、太陽。
(3)後は、今日はほとんどみな訳の中に解釈を入れました。Indexもこのような意味です。
(4)Facing the dull squintとは、文字通りに、男色者の顔にペニスをあてがい口に入れさせようとしても、それすらできぬほどに、何と言うこの男色も知らぬ無知なる男よという意味も掛けてある。
(5)また、what surpriseは、こうして下手糞な相手と金を色に換えて男色をしていて、sur-、すなわちtoo ample pocketsの金を貰ってはいるのだが、こんなひどい性交なのでは、素晴らしいといって驚くどころの話ではない、やはり僕の欲しいのは男色仲間からのpraise、賞賛なのだ、お金儲け、お金目当ての行為ではないのだという意味を掛けている。

〔語釈〕
(1) doom
Function: noun
Etymology: Middle English, from Old English dOm; akin to Old High German tuom condition, state, Old English dOn to do
1 : a law or ordinance especially in Anglo-Saxon England
2 a : JUDGMENT, DECISION; especially : a judicial condemnation or sentence b (1) : JUDGMENT 3a (2) : JUDGMENT DAY 1
3 a : DESTINY; especially : unhappy destiny b : DEATH, RUIN
synonym see FATE

(2) smirk
Function: intransitive verb
Etymology: Middle English, from Old English smearcian to smile; akin to Old English smerian to laugh
: to smile in an affected or smug manner : SIMPER
- smirk noun

(2.1) simper
(2.2) smug
(2.3) coy
(3) dally
Pronunciation: 'da-lE
Function: intransitive verb
Etymology: Middle English dalyen, from Anglo-French dalier
1 a : to act playfully; especially : to play amorously b : to deal lightly : TOY (accused him of dallying with a serious problem)
2 a : to waste time b : LINGER, DAWDLE
synonym see TRIFLE, DELAY

(3.1) amorously

(4) thumb
Main Entry: 1thumb
Function: noun
Etymology: Middle English thoume, thoumbe, from Old English thuma; akin to Old High German thumo thumb, Latin tumEre to swell
1 : the short thick digit of the human hand that is analogous in position to the big toe and differs from the other fingers in having only two phalanges, allowing greater freedom of movement, and being opposable to each of them; also : a corresponding digit in lower animals
2 : the part of a glove or mitten that covers the thumb
3 : a convex molding : OVOLO
- all thumbs : extremely awkward or clumsy
- under one's thumb or under the thumb : under control : in a state of subservience (her father did not have her that much under his thumb -- Hamilton Basso)

(5) inevitable
Function: adjective
Etymology: Middle English, from Latin inevitabilis, from in- + evitabilis evitable
: incapable of being avoided or evaded

(6) chafe
Main Entry: 1chafe
Function: verb
Etymology: Middle English chaufen to warm, from Middle French chaufer, from (assumed) Vulgar Latin calfare, alteration of Latin calefacere, from calEre to be warm + facere to make -- more at LEE, DO
transitive senses
1 : IRRITATE, VEX
2 : to warm by rubbing especially with the hands
3 a : to rub so as to wear away : ABRADE (the boat chafed its sides against the dock) b : to make sore by or as if by rubbing
intransitive senses
1 : to feel irritation or discontent : FRET (chafes at his restrictive desk job)
2 : to rub and thereby cause wear or irritation
(6.1) sore
Main Entry: 1sore
Pronunciation: 'sOr, 'sor
Function: adjective
Etymology: Middle English sor, from Old English sAr; akin to Old High German sEr sore and probably to Old Irish saeth distress
1 a : causing pain or distress b : painfully sensitive : TENDER (sore muscles) c : hurt or inflamed so as to be or seem painful (sore runny eyes) (a dog limping on a sore leg)
2 : attended by difficulties, hardship, or exertion

(7) pucker
Function: verb
Etymology: probably irregular from 1poke
intransitive senses : to become wrinkled or constricted
transitive senses : to contract into folds or wrinkles

(8) index
Pronunciation: 'in-"deks
Function: noun
Etymology: Latin indic-, index, from indicare to indicate
1 a : a device (as the pointer on a scale or the gnomon of a sundial) that serves to indicate a value or quantity b : something (as a physical feature or a mode of expression) that leads one to a particular fact or conclusion : INDICATION
2 : a list (as of bibliographical information or citations to a body of literature) arranged usually in alphabetical order of some specified datum (as author, subject, or keyword): as a : a list of items (as topics or names) treated in a printed work that gives for each item the page number where it may be found b : THUMB INDEX c : a bibliographical analysis of groups of publications that is usually published periodically
3 : a list of restricted or prohibited material; specifically capitalized : a list of books the reading of which is prohibited or restricted for Roman Catholics by the church authorities
4 plural usually indices : a number or symbol or expression (as an exponent) associated with another to indicate a mathematical operation to be performed or to indicate use or position in an arrangement
5 : a character (fist) used to direct attention to a note or paragraph -- called also fist
6 a : a number (as a ratio) derived from a series of observations and used as an indicator or measure; specifically : INDEX NUMBER b : the ratio of one dimension of a thing (as an anatomical structure) to another dimension

(9) dull
Main Entry: 1dull
Function: adjective
Etymology: Middle English dul; akin to Old English dol foolish, Old Irish dall blind
1 : mentally slow : STUPID
2 a : slow in perception or sensibility : INSENSIBLE b : lacking zest or vivacity : LISTLESS
3 : slow in action : SLUGGISH
4 a : lacking in force, intensity, or sharpness b : not resonant or ringing (a dull booming sound)
5 : lacking sharpness of edge or point
6 : lacking brilliance or luster
7 of a color : low in saturation and low in lightness
8 : CLOUDY
9 : TEDIOUS, UNINTERESTING
synonyms DULL, BLUNT, OBTUSE mean not sharp, keen, or acute. DULL suggests a lack or loss of keenness, zest, or pungency (a dull pain) (a dull mind). BLUNT suggests an inherent lack of sharpness or quickness of feeling or perception (a person of blunt sensibility). OBTUSE implies such bluntness as makes one insensitive in perception or imagination (too obtuse to take the hint). synonym see in addition STUPID

(10) squint
Main Entry: 1squint
Pronunciation: 'skwint
Function: adjective
Etymology: Middle English asquint
1 of an eye : looking or tending to look obliquely or askance (as with envy or disdain)
2 of the eyes : not having the visual axes parallel : CROSSED

(10.1) oblique
(11) innocence
Function: noun
1 a : freedom from guilt or sin through being unacquainted with evil : BLAMELESSNESS b : CHASTITY c : freedom from legal guilt of a particular crime or offense d (1) : freedom from guile or cunning : SIMPLICITY (2) : lack of worldly experience or sophistication e : lack of knowledge : IGNORANCE (written in entire innocence of the Italian language -- E. R. Bentley)
2 : one that is innocent
3 : BLUET

(12) surprise
Function: noun
Etymology: Middle English, from Middle French, from feminine of surpris, past participle of surprendre to take over, surprise, from sur- + prendre to take -- more at PRIZE
1 a : an attack made without warning b : a taking unawares
2 : something that surprises
3 : the state of being surprised : ASTONISHMENT

Chaplinesque再び(5)【第4連】

Chaplinesqueの第2階層(2,4)のうちの後者、すなわち第4連の詩を今日は読む。
いうまでもなく、同じ階層の連同士は呼応し合っている。これは、ほかの詩の場合もすべて、white buildingしている限り、Hart Craneの詩はそうなっていることは言うまでももはやない。

C 33というCraneの処女詩を今日も電車の中で読んでいて幾つもの意味を知った。謎を解く喜び。この題はCraneらしく幾つものことを掛け合わせた題であるのだが、後僕の未知の領域は、33をラテン語で言った場合にanus(尻の穴)という文字配列が並ぶことがあるかどうかという領域である。時間との関係ではあるのだが、純粋に数詞としては、どのようになるものか。誰か知っている人がいたら教えて欲しい。

さて、しかし、仕事とは単調なものだ。今日の日課に励むことにしよう。珍奇なるものは一瞬人の目を驚かせるが、その発見をもし僕が本当に大切にし、Craneの言葉を大切にしようと思ったのであれば、やはり胸底ならぬきょう底に秘めて熟成させることになるから。こういうときには、神をも複数形にして、詩の神と呼びたくなる。そうして沈黙したくなる。

〔第4連〕
And yet these fine collapses are not lies
More than the pirouettes of any pliant cane;
Our obsequies are, in a way, no enterprise.
We can evade you, and all else but the heart:
What blame to us if the heart live on.

〔表の訳〕
前回の訳をそのまま転用する。

しかし、こういった、強権的にやられての、繊細な意気消沈、意志阻喪、これらは、どれひとつとっても、決して嘘ではない(”ここには嘘がない。”)。それは、どんなに幾ら曲げられても折れることない、(あのパスカルのいった)蘆、その蘆(すなわち、人間)が、バレーのピルエットをやって、一本脚でクルクル独楽のように激しく素早く回転するその踊りの(訓練されて獲得する表現)様式以上のものだ。
僕らの刑死、その死刑の儀式は、ある意味では、事業ではない。
(法令書には、そうしろと書いてあるのだからな。しかし、だからこそ、また、それにもかかわらず、別の意味では、僕らが死刑になり、法律に則った儀式に従うというのは、これは、立派な一個の社会的な事業なのさ。)
僕達は、戦略的に、お前達を正面から攻めること、正面衝突を避けて、サイドステップを踏むことができるし、それは、その他にも何だって、やろうとおもえば、そうやって身をかわすことができる、しかし、心臓だけは別だ(”それは、お前達にもできないことなのだ。ここが、僕達とお前達の共通の場所だ”)。つまり、心臓が脈拍を打っているのに、だれが、こうすることが悪いといって、僕達を責める奴がいるか、いるわけがない。お前達にできるか?できるわけがない。

〔裏の訳〕
さて、しかし、このような最高の堕落、極限まで肉体を訓練して成し遂げられる夜の無意識の中でのこの男色者であることの崩壊と分解は、嘘ではないが、しかし安息でもないのだ。だから、これらの男色者が快楽を得るためにとる様々な姿勢は、バレーの踊り子という女性がその身体を鍛えて一本の葦が独楽のように一本脚で回転して見せる以上の難しいものなのだ。
ぼくたちの死刑執行は、男色者の方法で、このように行われ、それは、だから、バレーのような観衆の面前での興行などではなく、従って金儲けのビジネスでもないのだ。興行ならば拍手喝采で prizeももらえようが、僕達男色者は男色者仲間ではpraiseを貰うことが名誉なのさ。何故ならば、このような男色行為そのものが、社会の掟に違反した者達としての僕達の死刑執行なのだから。
だから、自分たちの掟を持っているのだから、僕達男色者は、そうしようと思えば、おまえ達昼間の人間達に我が身を翻して身を避けて、生きることができる自由を手にしているのだし、そのほかのことでも皆そうすることができるのだが、しかし心臓、この生きているということそのものの象徴である心臓だけは別だ。この事実から身をかわすことは、男色者もできないのだ。しかし、だからといって、この男色者の心臓が脈々と生きているのであれば、だれがそうだからといって僕達男色者とその社会を非難することができようか、できるわけが無い。

〔解釈〕
(1) a wayは、不定冠詞がついているので男色者の方法、流儀という意味。
(2) lieには、二つの矛盾した意味、第1連のcovertと嘘の意味が掛け合わされている。これはCraneらしい言葉遊び。そうして論理展開としてもCrane好みなのは、not liesとしていることで、言いたいことは、真実なのだという意味である。しかし、Truthとはいわないのだし、むしろ言ってはいけないのだ。ふたつの両極端のもののそれぞれのいづれかを否定するが、しかし、否定されたその極端が、反対側の他端であるかというと論理的にはそうはならないという不分明を詩人は愛しているのだ。その典型的な詩のひとつがWhat Nots?という題名の即興のような詩であるが、勿論これ以外にもこの詩あの詩のあちこちにこの論理展開が、段落、文、語に亘る階層のそれぞれに仕掛けてある。
(3)この論理の上に、uncoiled shellといったような形容詞が成立している。原初的な、原初に戻る、戻らせる力を有する形容詞。そうして、冠詞と名詞と形容詞の組み合わせ、僕が前回To Brooklyn Bridgeを訳し論じたときに「揺れる形容詞」と名付けた形容詞の配置もここにある。The dessert whiteといったように(C 33)。
(4)昼間の社会での褒賞はprise or prizeであるが、そうしてこれはこれで身を粉にして働いて得るものであるが、他方夜の男色者の社会での褒賞は、男色行為の最中に得られるpraise、自分がstarsの一つとして舞台に立って演じた役割の見事さに賞賛の嵐の来るpraiseなのさ。
(5)the heartは、定冠詞がついていて、先日解釈を伝えたthe worldとともに、男色者の心臓を言っている。同性愛者も異性愛者も共に共有し定冠詞をつけて、従って社会的な心臓。
(6)この連の最後の一行にあるto usのusは勿論男色仲間の僕達であり、前置詞のtoは男色仲間の社会を示すときにCraneがいつも使用する前置詞である。これは場所を表す。To Brooklyn Brideといったように。このToは斜字体になっていることを思い出して欲しい。その他にも、The Complete Poems of Hart Craneをぱらぱらと捲(めく)って見ると、To Emily Dickinson, To Shakespeare, To Earth, To Liberty, To the Empress Josephine’s Statue, To Buddha, To Conquer Varietyと題してある詩は皆この男色者の仲間の社会を意味している。堅牢な前置詞、zu。詩の中でのzuも同様である。Shakespeareについてはこのブログのどこかで述べたことだが、槍を振れ振れというのであるから、これも男根を動かす男の比喩である。前回Chaplinesqueを論じ、訳したときに、何故ここにzuが必要なのか、何故What blame us….ではいけないのかと僕が問うたことに対するこれが今回の答えである。千石先生は、CraneはMelvilleの直径の子孫だとおっしゃたけれども、Melvilleを歌った詩の題は、At Melville's Tombであるので、Zu Melville's Tombとはなっていない。これはまた別の評価がこのMelvilleに対しては、Craneは持っていることを示している。MelvilleはCraneとは別の宇宙の住人である。

〔語釈〕
(1) fine
(1.1 ) noun
Function: noun
Etymology: Middle English, from Old French fin, from Latin finis boundary, end
1 obsolete : END, CONCLUSION
2 : a compromise of a fictitious suit used as a form of conveyance of lands
3 a : a sum imposed as punishment for an offense b : a forfeiture or penalty paid to an injured party in a civil action
- in fine : in short
(1.2) adj
Etymology: Middle English fin, from Old French, from Latin finis, noun, end, limit
1 a : free from impurity b of a metal : having a stated proportion of pure metal in the composition expressed in parts per thousand (a gold coin .9166 fine)
2 a (1) : very thin in gauge or texture (fine thread) (2) : not coarse (fine sand) (3) : very small (fine print) (4) : KEEN (a knife with a fine edge) (5) : very precise or accurate (a fine adjustment) (trying to be too fine with his pitches) b : physically trained or hardened close to the limit of efficiency -- used of an athlete or animal
3 : delicate, subtle, or sensitive in quality, perception, or discrimination (a fine distinction)
4 : superior in kind, quality, or appearance : EXCELLENT (a fine job) (a fine day) (fine wines)
5 a : ORNATE 1 (fine writing) b : marked by or affecting elegance or refinement (fine manners)
6 a : very well (feel fine) b : ALL RIGHT (that's fine with me)
7 -- used as an intensive (the leader, in a fine frenzy, beheaded one of his wives -- Brian Crozier)
(3) collapse
Function: verb
Etymology: Latin collapsus, past participle of collabi, from com- + labi to fall, slide -- more at SLEEP
intransitive senses
1 : to fall or shrink together abruptly and completely : fall into a jumbled or flattened mass through the force of external pressure (a blood vessel that collapsed)
2 : to break down completely : DISINTEGRATE (his case had collapsed in a mass of legal wreckage -- Erle Stanley Gardner)
3 : to cave or fall in or give way
4 : to suddenly lose force, significance, effectiveness, or worth
5 : to break down in vital energy, stamina, or self-control through exhaustion or disease; especially : to fall helpless or unconscious
6 : to fold down into a more compact shape (a chair that collapses)
transitive senses : to cause to collapse
(4) lie
(4.1)noun
1 chiefly British : LAY 6
2 : the position or situation in which something lies (a golf ball in a difficult lie)
3 : the haunt of an animal (as a fish) : COVERT
4 British : an act or instance of lying or resting
(4.2)noun
Etymology: Middle English lige, lie, from Old English lyge; akin to Old High German lugI, Old English lEogan to lie
1 a : an assertion of something known or believed by the speaker to be untrue with intent to deceive b : an untrue or inaccurate statement that may or may not be believed true by the speaker
2 : something that misleads or deceives
3 : a charge of lying

(5) enterprise
Main Entry: ;prise
Function: noun
Etymology: Middle English, from Middle French, from Old French entreprendre to undertake, from entre- inter- + prendre to take -- more at PRIZE
1 : a project or undertaking that is especially difficult, complicated, or risky
2 : readiness to engage in daring action : INITIATIVE
3 a : a unit of economic organization or activity; especially : a business organization b : a systematic purposeful activity (agriculture is the main economic enterprise among these people)

(6) evade
Function: verb
Inflected Form(s):
Etymology: Middle French & Latin; Middle French evader, from Latin evadere, from e- + vadere to go, walk -- more at WADE
intransitive senses
1 : to slip away
2 : to take refuge in evasion
transitive senses
1 : to elude by dexterity or stratagem
2 a : to avoid facing up to (evaded the real issues) b : to avoid the performance of : DODGE, CIRCUMVENT; especially : to fail to pay (taxes) c : to avoid answering directly : turn aside
3 : to be elusive to : BAFFLE (the simple, personal meaning evaded them -- C. D. Lewis)
synonym see ESCAPE

Chaplinesque再び(4) 【第2連】

今日はWhite Buildingの第2階の(2,4)のうちの前者、すなわち第2連を読みましょう。

〔第2連〕

For we can still love the world, who find
A famished kitten on the step, and know
Recesses for it from the fury of the street,
Or warm torn elbow coverts.

〔表の訳〕
前回の訳をそのまま引用します。

僕らは、世界をまだ愛することができるのだから、階段の途中に、
昇ろうとしたのか降りようとしたのか解らないが、しかし、その途中でもう腹を空かして飢え死に寸前になって動かない子猫を、誰か見つけてくれないか、見つけないことはないだろう、そして、こいつのために、お金儲けの事業で喧(やかま)しい表通りのビジネス街の怒りから、幾らでも避難場所のあることを、誰か知っているだろう、その筈だ。そうでなければ、暖かな、ボロボロの服を身にまとい、それでもいいから(”襤褸(ぼろ)は着ててもこころは錦”)、その肘と肘を組んで(弱いものを護るための)環をつくる密やかな同盟のあることを、誰か知っているだろう。知らないわけがない。

〔裏の訳〕
僕達は静かに動かぬときも、動きながらしているときも、そう、こうして男色者の性交をして段々といい気持ちになり、お互いを理解しあい、こうして男色者仲間を愛することができるのだから、一匹の男色者の、この若い男が、まさしくその男色者のステップ、性器を抽送したりされたりするそのステップのリズムに触れて、硬く直立したシャフトを受け容れる帆船となり、初心(うぶ)でまだ子猫のような可愛らしい快楽の声をあげるのをみてくれよ、そうしてまた、売春や貧困や廃物や犯罪で一杯のこの裏通りの怒りから、人間ではないこの一匹の動物、子猫が我が身を護るための、この傾斜のついたいい尻の中へと、つまりこの暖かいだれもが退避できるこの秘密の尻という隠れ家の仲間達、手を突き、肘を屈し、頭を下げて腰をひん曲げて、無理やり抉(こ)じ開けられて分けられてペニスを入れられるこの尻の姿勢の休憩所があることを知ってくれよ。

〔解釈〕
(1) 不定冠詞は男色者の印。A famished kitten。
(2 ) the worldは、男色者仲間のことです。他の詩でも、the worldといえば、男色者の世界であり、男色者の宇宙です。この宇宙には、太陽、地球、そして月と呼ばれる男色者の性戯の役割分担があり、これらの総称をstars、星、星々とCraneは呼んでいます。

To Brooklyn Bridgeの第9連の第2行、immaculate sigh of starsとは、sun, earth and moonの穢れの無い、無垢の、純粋の快楽の溜息であったことを思い出すことにしましょう。

また、この第9連に対応する同じ階層、フロアーにある第3連で、何故一人称は映画を観に行くのかというと、その銀幕には映画スターと呼ばれるstars、星々が映写されるからであり、ここにまさしく書いてある通りに、some flashing sceneがthe same screenに映写されるからです。そうして男色者たちの世界、the worldの常で、男色行為に耽っているスター達の周囲に観客がいて、囃したり、冷やかしたり、励ましたり、嘲ったりしているのです。a grail of laughterやall sound of gaiety and questがそこにはある、そのような世界。

Someやsameは、不定冠詞のanと同様、勿論男色者の印でした。

(3) recessという概念の中には、slantという概念が入っていること、それからrecessが夜の男色者の世界のことですので、上の訳には、「この傾斜のついていい尻」と敢えて訳出しました。Slantという形容詞が掛かる名詞は尻を意味しています。例えば、White Buildingという詩集の中の「Praise for An Urn In Memoriam: Ernest Nelson」と題した詩の中に次の一行があります。Ernest Nelsonもいい恋人の一人なのでしょう。

The slant moon on the slanting hill

Moonは男色行為に耽るときの役割のひとつ、そうしてhillとは尻のことです。Quaker Hill。快楽に身を打ち震わせ、尻を振るわせる者、すなわち男色者の尻というのが裏の意味です。丘を尻に喩えた。これは、The BridgeのVIに当たる詩の題名です。表の訳は自明でありましょう。このように大胆不敵に、冒涜に、Craneは言葉を使う、いや、そのように見える。Craneは、何故釈迦の詩を詠ったのか、釈迦とは何か、あなたも考えてみて下さい。このようなCraneの概念体系図が今僕の眼の前に展開している。これはHart Craneの童貞のペニスから生えた一本の樹木。

さて、この尻を拡げるのに、手を貸して、そうして尻が一翼の両の翼にみえるまでにして、太陽たるホストがそのペニスを挿入し易くする役割を演じるのが月。そのように月が開いた尻の姿をwing、翼と呼ぶ。これは空での名前。陸での名前は丘、hillである。海での名前は?
もちろんこれらばかりではない。そのmatrixは本当に贅沢にある。よくもやってくれるぜと、今回もやはり僕は一層深くお前を知ったが故に感嘆する。しかも、stillという副詞を以って。でも僕は男色者ではないぜ、Craneよ。

太陽がペニスを挿入する先は地球。月は、地球には尻を見せない。見せるのは、太陽に対してだけで、つまり、地球の周りを廻りながら、太陽―月―地球という配置をとったときだけである。太陽にそのエネルギーのペニスを挿入してもらえる配置もあるのだ。

1万字を超えたので、僕の検索した言葉のみを以下に掲げます。勿論辞書は、Merrian-Webster Onlineです。

〔語釈〕
(1) still
Main Entry: 3still
Function: adverb
1 : without motion (sit still)
2 archaic a : ALWAYS, CONTINUALLY b : in a progressive manner : INCREASINGLY
3 -- used as a function word to indicate the continuance of an action or condition (still lives there) (drink it while it's still hot)
4 : in spite of that : NEVERTHELESS (those who take the greatest care still make mistakes)
5 a : EVEN 2c (a still more difficult problem) b : YET 1a

(2) step
Main Entry: 1step
Pronunciation: 'step
Function: noun
Etymology: Middle English, from Old English st-aelig;pe; akin to Old High German stapfo step, stampfOn to stamp
1 : a rest for the foot in ascending or descending: as a : one of a series of structures consisting of a riser and a tread b : a ladder rung
2 a (1) : an advance or movement made by raising the foot and bringing it down elsewhere (2) : a combination of foot or foot and body movements constituting a unit or a repeated pattern (a dance step) (3) : manner of walking : STRIDE b : FOOTPRINT 1 c : the sound of a footstep (heard steps in the hall)
3 a : the space passed over in one step b : a short distance (just a step away from the bank) c : the height of one stair
4 plural : COURSE, WAY (directed his steps toward the river)
5 a : a degree, grade, or rank in a scale b : a stage in a process (was guided through every step of my career)
6 : a frame on a ship designed to receive an upright shaft; especially : a block supporting the heel of a mast
7 : an action, proceeding, or measure often occurring as one in a series (taking steps to improve the situation)
8 : a steplike offset or part usually occurring in a series
9 : an interval in a musical scale
- step;like /-"lIk/ adjective
- stepped /'stept/ adjective
- in step 1 : with each foot moving to the same time as the corresponding foot of others or in time to music 2 : in harmony or agreement
- out of step : not in step (out of step with the times)
(3) street
Main Entry: 1street
Pronunciation: 'strEt
Function: noun
Etymology: Middle English strete, from Old English str[AE]t, from Late Latin strata paved road, from Latin, feminine of stratus, past participle -- more at STRATUM
1 a : a thoroughfare especially in a city, town, or village that is wider than an alley or lane and that usually includes sidewalks b : the part of a street reserved for vehicles c : a thoroughfare with abutting property (lives on a fashionable street)
2 : the people occupying property on a street (the whole street knew about the accident)
3 : a promising line of development or a channeling of effort
4 capitalized : a district (as Wall Street or Fleet Street) identified with a particular profession
5 : an environment (as in a depressed neighborhood or section of a city) of prostitution, poverty, dereliction, or crime
- on the street or in the street 1 : idle, homeless, or out of a job 2 : out of prison : at liberty
- up one's street or down one's street : suited to one's abilities or taste

(3.1) dereliction
Pronunciation:
Function: noun
1 a : an intentional abandonment b : the state of being abandoned
2 : a recession of water leaving permanently dry land
3 a : intentional or conscious neglect : DELINQUENCY (dereliction of duty)b : FAULT, SHORTCOMING

(3.2) recession
Main Entry:
Pronunciation:
Function: noun
1 : the act or action of receding : WITHDRAWAL
2 : a departing procession (as of clergy and choir at the end of a church service)
3 : a period of reduced economic activity
-
(3.2.1) recede
Main Entry: ;cede
Pronunciation: ri-'sEd
Function: intransitive verb
Inflected Form(s):
Etymology: Middle English, from Latin recedere to go back, from re- + cedere to go
1 a : to move back or away : WITHDRAW b : to slant backward
2 : to grow less or smaller : DIMINISH, DECREASE
synonyms RECEDE, RETREAT, RETRACT, BACK mean to move backward. RECEDE implies a gradual withdrawing from a forward or high fixed point in time or space (the flood waters gradually receded). RETREAT implies withdrawal from a point or position reached (retreating soldiers). RETRACT implies drawing back from an extended position (a cat retracting its claws). BACK is used with up, down, out, or off to refer to any retrograde motion (backed off on the throttle).

(3.2.1.1) slant
(3.2.1.2) slant
(4) covert
Main Entry: ;vert
Pronunciation:
Function: adjective
Etymology: Middle English, from Middle French, past participle of covrir to cover
1 : not openly shown, engaged in, or avowed : VEILED (a covert alliance)
2 : covered over : SHELTERED
synonym see SECRET

(5) elbow
Main Entry: ;bow
Pronunciation: 'el-"bO
Function: noun
Etymology: Middle English elbowe, from Old English elboga, from el- (akin to eln ell) + Old English boga bow -- more at ELL, BOW
1 a : the joint of the human arm b : a corresponding joint in the anterior limb of a lower vertebrate
2 : something (as macaroni or an angular pipe fitting) resembling an elbow
- at one's elbow : at one's side
- out at elbows or out at the elbows 1 : shabbily dressed 2 : short of funds

(5.1) el
(5.2) bow
(6) torn

Chapinesque再び(3):第5連の裏表の訳を

今日はWhitel Buildingの第3階の(1,5)のうちの後者、すなわち第5連を表と裏で訳します。

裏の訳を読んだ読者は、これは一体なんだと驚き、こんな訳が何故生まれるのかと訝しく思われることでしょうが、他の詩とあわせて読んだときに、やはり、これは正しい訳なのです。いづれHart Craneの言葉の体系図、matrixを作成しましょう。

なぜこのような裏の訳が可能であるかは、過去の僕のTo Brooklyn Bridgeの連載をお読み下さい。


【原詩】

Chaplinesque

We will make our meek adjustments,
Contented with such random consolations
As the wind deposits
In slithered and too ample pockets.

For we can still love the world, who find
A famished kitten on the step, and know
Recesses for it from the fury of the street,
Or warm torn elbow coverts.

We will sidestep, and to the final smirk
Dally the doom of that inevitable thumb
That slowly chafes its puckered index toward us,
Facing the dull squint with what innocence
And what surprise!

And yet these fine collapses are not lies
More than the pirouettes of any pliant cane;
Our obsequies are, in a way, no enterprise.
We can evade you, and all else but the heart:
What blame to us if the heart live on.

The game enforces smirks; but we have seen
The moon in lonely alleys make
A grail of laughter of an empty ash can,
And through all sound of gaiety and quest
Have heard a kitten in the wilderness.


〔第5連〕

The game enforces smirks; but we have seen
The moon in lonely alleys make
A grail of laughter of an empty ash can,
And through all sound of gaiety and quest
Have heard a kitten in the wilderness.

〔表の訳〕
前回の訳をそのまま引用します。

ゲームをするならば、ゲームの規則があるから、いやでもその最高法規の執行命令を受け容れて、相手に点を取らせまいとし、相手のミスを誘い、嫌やでも応でも、(僕らの願う本来の規則正しい解決を図ろうとしながらも、やはり)作り笑いを作るが、しかし、僕達が実際にみて来たのは何かといえば、賑やかな笑い声の(小文字で書いた、世俗の)聖杯を、灰皿代わりに使われてそこに打ち捨てられていた(空虚な、空しい)空き缶から作ったのは、ビジネス街の表通りから一本裏に入った寂しい通りに映る月であり、そして、陽気なドンチャン騒ぎと世俗の騎士道の聖杯探求の賑やかな音や響きを通じて、その音響のどこからでも絶えず聞こえて来たのは、人間がまだ脚を踏み入れたことのない未開拓の領域、即ち荒野にあって、今にも飢え死に寸前の、一匹の子猫の鳴き声なのだ。

〔裏の訳〕
この薄汚い、金で色を売るような男色者のhostとguestの役割で行う性行為は、無理に愚かなへつらった笑いを強制執行し、相手に性具や歯でペニスを傷つけられても痛くないよといった顔をするようにその罰を男色者に与えるが、しかし僕達男色者仲間が現実に見たことがあるのは、そうではなく、男色者の中には、寂しい裏通りを相手の男を選り好みしながら歩いている初めての若者がいて、まだペニスの挿入されていない空っぽの尻の穴を担いで歩いているぜ、ほら俺の精液を詰め込んでやろうか、そんなことでもして刑務所暮らしで臭い飯でも一緒に食おうぜといったような、からかいの笑い声からなる男色者達の、精液を受ける聖杯となるのを見た若者の姿なのであり、そして男色者の陽気なお祭り騒ぎと相方探究のありとあらゆる行為の音や響きを伴う性行為を通じて聞こえるのは、まだ普通の人間どもの開拓していない未知の領域、この男色というまだ耕かされていない領域にいる一匹のか弱い猫のような快楽の声を上げる、そのような初心(うぶ)な男色者のその声なのだ。

〔解釈〕
(1) 不定冠詞が男色者の印であることは既に今までの連載で書いた通り。今回も同じです。A kitten, a grail。

(2) The moonは、いつも地球に後ろを見せずに、前だけを見せている衛星。実は、Craneは、男色者の行為とそのhostとguestの関係を宇宙の天体の運行の関係、そのシステムの関係と対応させて詩を書いているのです。それらの天体の名前は、sun, earth and moon、です。地球に対して月はいつもその尻を見せないのです。これらのことについてはもっと後日詳述します。この3つの男色者の関係を、例えば、To Brooklyn BridgeのVでは、Three Songsと題しています。勿論、C a space 33の33も同じ関係を表している。この詩についてはもっと詳しく論じたいと思っています。

(3)lonely alleyをここでは、上のように訳しましたが、実はまだ足りない。Lonelyには、ひとりでマスターベーションをするという意味をCraneは掛けている。だから、明るい通りから身を隠して、一人建物の後ろ側で暗闇に隠れてマスターベーションをしている初心(うぶ)な若者、尻を誰にもまだ売っていない若者という意味です。The moon in lonely alley.実感があるでしょう?発音してみると。

後はWebsterから引用した語釈をお読み下さい。

〔語釈〕
(1) smirk
Main Entry: smirk
Pronunciation: 'sm&rk
Function: intransitive verb
Etymology: Middle English, from Old English smearcian to smile; akin to Old English smerian to laugh
: to smile in an affected or smug manner : SIMPER
- smirk noun

(1.1) simper
Entry: 1sim·per
Pronunciation: 'sim-p&r
Function: verb
Inflected Form(s): sim·pered; sim·per·ing /-p(&-)ri[ng]/
Etymology: perhaps of Scandinavian origin; akin to Danish dialect simper affected, coy
intransitive senses : to smile in a silly manner
transitive senses : to say with a simper (simpered an apology)
- sim·per·er /-p&r-&r/ noun

(2) alley
Main Entry: 1al·ley
Pronunciation: 'a-lE
Function: noun
Inflected Form(s): plural alleys
Etymology: Middle English, from Middle French alee, from Old French, from aler to go
1 : a garden or park walk bordered by trees or bushes
2 a (1) : a grassed enclosure for bowling or skittles (2) : a hardwood lane for bowling; also : a room or building housing a group of such lanes b : the space on each side of a tennis doubles court between the sideline and the service sideline c : an area in a baseball outfield between two outfielders when they are in normal positions
3 : a narrow street; especially : a thoroughfare through the middle of a block giving access to the rear of lots or buildings
- up one's alley also down one's alley : suited to one's own tastes or abilities

(3) ash
Entry: 1ash
Pronunciation: 'ash
Function: noun
Etymology: Middle English asshe, from Old English æsc; akin to Old High German ask ash, Latin ornus mountain ash
1 : any of a genus (Fraxinus) of trees of the olive family with pinnate leaves, thin furrowed bark, and gray branchlets
2 : the tough elastic wood of an ash
3 [Old English æsc, name of the corresponding runic letter] : the ligature æ used in Old English and some phonetic alphabets to represent a low front vowel \a\

(4) canMain Entry: 2can
Pronunciation: 'kan
Function: noun
Etymology: Middle English canne, from Old English; akin to Old High German channa
1 : a usually cylindrical receptacle: a : a vessel for holding liquids; specifically : a drinking vessel b : a usually metal typically cylindrical receptacle usually with an open top, often with a removable cover, and sometimes with a spout or side handles (as for holding milk or trash) c : a container (as of tinplate) in which products (as perishable foods) are hermetically sealed for preservation until use d : a jar for packing or preserving fruit or vegetables
2 : JAIL
3 a : TOILET b : BATHROOM 1
4 : BUTTOCKS
5 : DESTROYER 2
6 slang : an ounce of marijuana
- can·ful /'kan-"ful/ noun
- in the can of a film or videotape : completed and ready for release

(5)wilderness
Main Entry: wil·der·ness
Pronunciation: 'wil-d&r-n&s
Function: noun
Etymology: Middle English, from wildern wild, from Old English wilddEoren of wild beasts
1 a (1) : a tract or region uncultivated and uninhabited by human beings (2) : an area essentially undisturbed by human activity together with its naturally developed life community b : an empty or pathless area or region (in remote wildernesses of space groups of nebulae are found -- G. W. Gray died 1960) c : a part of a garden devoted to wild growth
2 obsolete : wild or uncultivated state
3 a : a confusing multitude or mass : an indefinitely great number or quantity (I would not have given it for a wilderness of monkeys -- Shakespeare)b : a bewildering situation (those moral wildernesses of civilized life -- Norman Mailer)

Chaplinesque再び(2)

このChaplinesqueという題名は、表の題名は

チャップリン様式

という題名であるが、しかし、裏の題名は

男色者が複数性交するその連なりというものである。つまり、
Chapline's or Chaplines' queがその題名の由来であり、チャップリンの肛門性交の題名の由来なのである。

Craneの詩の題名はほとんど皆、このように裏の題名を擁していると考えることができる。そうでなくとも、この詩人のことであるから、詩の内容たる各連に呼応し対応して必ずや題名も変色せむ。

読みながら僕は問うてみる、何故チャップリンでなければならないのかと。答えは意外に早くやってきた。それは、チャップリンが山高帽を被ったヒーロー、主人公であるからだ。そうして、その山高帽は英語でhatと呼ばれ、更にその色が黒であることが大切な意味を有しているのだ。これが、何故詩人がChaplines' queと題したのか、その理由である。BlackはBlack Tambourineのblackである。Tambourineは男色者の使用する性具であった。さて、Hatは如何に。

この命名と同じ規則で題された詩篇の題名を今試みにこのThe Complete Poems of Hart Craneからぱらぱらとページをめくって選ってみると、例えば、

Bees of Paradise
(天国の蜂達)

がある。

Beesはbeadsと変換すれば、同じ音に、既にTo Brooklyn Bridgeを朝まだきに渡る男色者の性交の数珠繋ぎを思い出すことができるだろう。もちろんこの場合の天国とは地獄と同じ天国である。Thresholdをどこに求めむや。神聖な神(男性名詞)に祈り、マリア(女性)に抱きかかえられ、男色に耽る夜の中に救済され、そうしてまた夜明けに肛門性交で祈りの数珠に連なる罪深き男色者達。

今日しみじみと思ったことは、天才はやはり最初の小品にすべてが宿っているということでした。C 33。C33ではなくて、C one space 33でなければならない。あるいは、C a space 33。

この詩人は、宇宙的な比喩の体系を創造し、それを多分極々数少ない同性愛者の恋人(その一人がWilliam Sommer)にしかその秘密の鍵を渡さなかった。Key West、そうしてWestという題名。これは、To Brooklyn Bridgeの中のVII THE TUNNELと題した詩篇にある詩の副題、エピグラム。それは、

To Find the Western path
Right thro' the Gates of Wrath

-----Blake

そうして、Northern, Southernと名づけられ形容される名詞達。またその詩篇達。これはまた後日論じよう。

今日は相当なことがよくわかり、幾つもの謎の解けた一日であった。文字通りに家には辿り着けず、さ迷う一日であったけれども。しかし、このような生活こそ僕に相応しい。庭のある生活、庭しかない生活。思えばCraneも随分と庭を主題としている、深い意義のある。Garden Abstract.

Chaplinesque再び

Chaplinesqueは、White Buildingの中の一篇。それ故その構造は、既にしてこのようにある。

3階(1,5)
2階(2,4)
1階(3,3)

これは3階建てのWhite Buildingだ。

従い、1連と5連は合呼応している。今は5連は敢えて訳出しない。第1連を。

前回の訳は、この間To Brooklyn Bridgeを訳した経験を大切にすると、これは表の訳であった。今日は裏の訳である。第5連の訳もまた根底からひっくり変えることだろう。従い2連と4連も。これはまた明日。

【原文】

Chaplinesque

We will make our meek adjustments,
Contented with such random consolations
As the wind deposits
In slithered and too ample pockets.

For we can still love the world, who find
A famished kitten on the step, and know
Recesses for it from the fury of the street,
Or warm torn elbow coverts.

We will sidestep, and to the final smirk
Dally the doom of that inevitable thumb
That slowly chafes its puckered index toward us,
Facing the dull squint with what innocence
And what surprise!

And yet these fine collapses are not lies
More than the pirouettes of any pliant cane;
Our obsequies are, in a way, no enterprise.
We can evade you, and all else but the heart:
What blame to us if the heart live on.

The game enforces smirks; but we have seen
The moon in lonely alleys make
A grail of laughter of an empty ash can,
And through all sound of gaiety and quest
Have heard a kitten in the wilderness.

【表の訳】
前回の訳をそのまま引用する。


僕らは、決してほめられたことではないが、しかし、景気の風や人の機嫌の風の吹き廻しで、ブヨブヨ、ヌルヌルの金持ちの財布、今だって唸るほどありあまっているのに、それでもまだ入る、そんな財布やポケットに、お金が溜まるにあわせて生まれるその場凌ぎの慰めの言葉と戦いながら、そんなことばに魂を売るまいと、僕らのような人種に特有の、優しい、そして人を恨むわけでもなく忍耐強い、誰のためでもなく、しかし規則正しい解決を図ろうとする。



【裏の訳】
僕たちは、痛さはあるがそれを我慢し、そしてお互いを傷つけないようにして、うまく男色者の性具の調整をして、その場で手当たり次第に相手を求め、一時の慰みを得て、どっちが先に射精して往ってしまうかと試合(ゲーム)をして競い合い、互いには相手が先に行かぬようにと牽制し合って戦うのだが、それは、風、すなわち帆船の帆のその鰓(えら)を高く掲げて風を一杯に孕ませてくれ、男の快楽を与えてくれるような、風の吹き回し、金の廻り具合のいい男色相手が運良く見つかれば、それこそアトランダムに相手構わず、精液で塗(まみれ)てぬるぬるの、そうしてその日暮らしには十分過ぎる金を、何回も日々ポケットに入れてくれる、そのような風、十分過ぎる位に僕のペニスにピッタリと来て腰を動かして摩擦してくれる気持ちのよいポケットを持った風に我が身を毎晩任せながら、そのようにするのだ。

〔解釈〕
これを読むと、Craneは、その日の糧を稼ぐために毎晩売春もしたのだな。Pocketsは複数形だ。これは、この詩に書いてある通りだと思う。

そうして、このように理解をして初めて、この連の最後の1行のtoo ampleのtooの意味が判る。一日その晩と次の日の昼間を生きるには十分過ぎるお金を男色の相手から貰うことができるのだから。有難いという気持ちも入った、しかしslithered pocketsを形容するampleにかかるtoo。Too ample pockets slithered.

この連の最初の行のour adjustmentのourは、従って、勿論男色者仲間の僕たちという意味。優しい男色者同士の優しいmeekの性具の調整、しながらの、互いに傷つけ合わぬことを前提にしている優しさ、男同士の、女との性交にはない、むしろ後者は男女が逆に傷つけあう性交だから。

Craneのほかの詩であっても、windとあれば、それは帆船、帆の縁語、ペニスの鰓の帆を一杯に膨らませてくれる風たる男色者のことです。


〔語釈〕
(1)meek
Main Entry: meek
Pronunciation: 'mEk
Function: adjective
Etymology: Middle English, of Scandinavian origin; akin to Old Norse mjukr gentle; akin to Welsh mwyth soft
1 : enduring injury with patience and without resentment : MILD
2 : deficient in spirit and courage : SUBMISSIVE
3 : not violent or strong : MODERATE
- meek·ly adverb
- meek·ness noun

(2)resentment
Main Entry: re·sent·ment
Pronunciation: ri-'zent-m&nt
Function: noun
: a feeling of indignant displeasure or persistent ill will at something regarded as a wrong, insult, or injury
synonym see OFFENSE

(3)consolation
Entry: con·so·la·tion
Pronunciation: "kän(t)-s&-'lA-sh&n
Function: noun
1 : the act or an instance of consoling : the state of being consoled : COMFORT
2 : something that consoles; specifically : a contest held for those who have lost early in a tournament (the losers met in a consolation game)
- con·so·la·to·ry /k&n-'sO-l&-"tOr-E, -'sä-, -"tor-/ adjective

(4)contend
Entry: con·tend
Pronunciation: k&n-'tend
Function: verb
Etymology: Middle English, from Middle French or Latin; Middle French contendre, from Latin contendere, from com- + tendere to stretch -- more at THIN
intransitive senses
1 : to strive or vie in contest or rivalry or against difficulties : STRUGGLE
2 : to strive in debate : ARGUE
transitive senses
1 : MAINTAIN, ASSERT (contended that he was right)
2 : to struggle for : CONTEST

(5) slither
Pronunciation: 'sli-[th]&r
Function: verb
Etymology: Middle English slideren, from Old English slidrian, frequentative of slIdan to slide
intransitive senses
1 : to slide on or as if on a loose gravelly surface
2 : to slip or slide like a snake
transitive senses : to cause to slide

(6)ample
Main Entry: am·ple
Pronunciation: 'am-p&l
Function: adjective
Inflected Form(s): am·pler /-p(&-)l&r/; am·plest /-p(&-)l&st/
Etymology: Middle French, from Latin amplus
1 : generous or more than adequate in size, scope, or capacity (there was room for an ample garden)
2 : generously sufficient to satisfy a requirement or need (they had ample money for the trip)
3 : BUXOM, PORTLY (an ample figure)
synonym see SPACIOUS, PLENTIFUL
- am·ple·ness /-p&l-n&s/ noun
- am·ply /-plE/ adverb

Black Tambourine 4

第3連を見て見よう。

The black man, forlorn in the cellar,
Wanders in some mid-kingdom, dark, that lies,
Between his tambourine, stuck on the wall,
And, in Africa, a carcass quick with flies.


【表の訳】

その黒人は、地下室にひとりになって、
壁にかかっている彼のタンバリンと
アフリカにある、蠅がたかっている
死んではいない体との間に、暗く、ある
或る中間の王国をさまよう。

【裏の訳】
男色の罪にけがれた男は、地下牢の、地獄の中で
孤独なまま、自分のものだといいたい、前位置に
壁のようにたっている男のそのタンバリン形の
性具と、それから、何度も行きそうになりながら、
まだ絶頂にまで行かずに、従ってまだ生きていて
死んではいない、しゃせいをこらえているだんしょく者、
肛門せい交に至らないだんしょく者とのまん中にある
だんしょく者の王国をさまよっている。

【解釈】

someは、Websterによれば、

Etymology:
Middle English som, adjective & pron., from Old English sum; akin to Old High German sum some, Greek hamィ・ somehow, homos same ム more at same

とあることから、Craneは、homosという語源、語釈にホモの意に掛けて、この語を使っている。Sameも同じ。

従い、some mid-kingdomとは、男色者、同性愛者の中間の王国という意味になる。しかし、中間の王国とは何であろうか。

だんしょく者達が、性行為をしているときに、中世の騎士物語を演じるということは、前に書いた通り。だから、some kingdomなのだと思う。しかし、mid-とは何か。これは、また別に男同士のせい行為の様子を、太陽系の星の運行に喩えていたことを思い出す事にしよう。そうすると、3つの星があって、この汚れた罪深い男、黒い男は、太陽、地球、月のうち、まん中の位置にいると考えることができる。あるいは、王国の分類そのものがあって、前の王国、中の王国、後ろの王国といったものがあるのだろうか。

いづれにせよ、太陽は動かぬ位置にあり、地球は太陽を周回し、月は地球にいつも表だけを見せて自転せず、尻を向こうに向けたままの位置にいる。この男の位置は、地球であると、ひとまづ、ここでは、しておこう。太陽のペニスをくわえ、尻には月のペニスが挿入されている状態、それが、wander in some mid-kingdomということ。

Wallとは、

something resembling a wall (as in appearance, function, or effect); especially : something that acts as a barrier or defense

ということから、太陽の位置にいて、突っ立っている男と解釈する。

Africaとは、何故アフリカなのだろうか。これもこの語を深く調べてゆくと、

continent of the eastern hemisphere S of the Mediterranean & adjoining Asia on NE area 11,677,239 square miles (30,244,049 square kilometers)


とあり、実は、ここにあるcontinent(大陸という意味に普通はいうもの)を、更にcontinentを調べると、Craneは、continenceということから、

self-restraint; especially : a refraining from sexual intercourse

という意味をAfricaという言葉に隠している。セックスを我慢するという意味。そう思って見ると、AfricaにもAという文字が入っている。だから、アナル・セックスを我慢するという意味になる。

このように考えて来ると、

And, in Africa, a carcass quick with flies.

とは、何度も行きそうになりながら、まだ絶頂にまで行かずに、従ってまだ生きていて死んではいない、射精をこらえている男色者、肛門性交に至らない男色者という意味になる。Fliesを、

a brilliant, imaginative, or unrestrained exercise or display (a flight of fancy)

ととることにする。

また、その前にある、

his tambourine, stuck on the wall

とは、まん中のポジションにいるその男から見ると、前に壁のように立っている太陽のポジションの男のペニスに掛けているタンバリン形の性具だと理解しよう。このタンバリンがあるおかげで、
ペニスの先がいい気持ちになり、そうなるように口で、また指で刺激をするのが、まん中のポジションの役割なのだろうと思う。

Black Tambourine3

第2連を見て見よう。

Aesop, driven to pondering, found
Heaven with the tortoise and the hare,
Fox brush and sow ear top his grave
And mingling incantations on the air.

これも、表通りで、普通に読むと、本当に何を言っているのだろうと思うような詩だ。

【表の訳】

イソップは、何かに駆られて沈思黙考しているうちに、亀と兎のいる天国を見つけたが、狐の尻尾と牝豚の耳が、イソップの死を頂点にもってゆき、そうして空気に触れて呪文を混ぜる。

【裏の訳】

イソップは、尻を上げてAのポーズをとっているが、強いられて心の中で静かに味わっていると、兎と亀の天国、すなわち感じてはやく行くのが勝ちなのではなく、いくのが遅い方が勝ちなのだというお話通りに天国を発見するし、狐の尻尾のブラシと牝豚の耳で、イソップが快感の絶頂で死に到るように感じさせる。周りで、行くのがもっと遅くなり、絶頂感が長く続くようにという呪文を、実況中継して、そこに混ぜ入れながら。


【解釈】

Aesopとは、これもCrane好みの言葉で、最初から仕掛けがある。
このイソップという童話の作者の名前をひっくり返すと、Pose A、即ちAという尻を上げた姿勢をとる、その姿勢という意味になるからだ。

また、イソップは、アフリカ生まれの黒人であったという説が念頭にあって、Craneは、この詩を書いている。それは、第1連にあるa black
manに始まり、第3連にあるAfricaに到るまで、そうである。

表の訳の方に無理があって、表の訳を考えていると、そのまま裏の訳に到る。表裏不可分。

狐の毛でできたブラシと牝豚の耳というのは、膨張したペニスには、特に優しく、感じやすくさせるものなのだろう。だから、そのときの呪文とは、すぐ行かずに、もっと長くもつようにというおまじないの言葉。何と言ったかは、わからない。あるいは、他のCraneの詩を読むと、想到するかも知れない。

兎と亀の話は、イソップの有名な話であるが、ここでは、速い兎が負け、遅く行く亀が勝ちという結末から、先に行ったら(射精したら)負け、遅く行った(射精した)方が勝ちという、そういう話を男色者達が実際にしていることをいっているのだろう。

On the airは、Craneの色々な詩によく出て来る言葉であるが、
結局、これは、性行為をしているふたり(あるいは、もっと複数)の周囲に、他の男色者達がいて、その行為を見ていて、実況中継をしているととることが、一番自然のように思うので、そのように訳した。

mingling incantations on the airを、そのまま普通に訳しても、全く何を言っているのか、わからないことだろう。

BLACK TAMBOURINE 2

Hart Craneは、この詩の中にいつものように暗号を隠している。あるいは、詩を暗号化して、裏の詩、すなわち男色者の喜びと悲しみを歌う詩としても読めるように書いている。

この詩の題名から見てみたい。

Blackという色の名前がつけられている。これは、詩集の名前であるWhite Buildingのwhite、この白と対極の、それゆえCraneの詩の中では、互いに相通じて最後には反転してもう一方の意味になる、そのような黒、即ち罪深い、男色者の黒という意味である。Whiteは、それに対して、浄化された、汚れの無い、男色の罪の赦されたという意味である。それが、White Buildingの意味。詩をbuildingすることで、文字通りに垂直方向に言葉の建物を階層化して立てることで、更に、そうやって構築された詩が、男色者の罪を赦されるものとしてある、そのような祈りの詩とすることで、whiteになる男色を歌った詩。

Tambourineとは、同じ詩集の中の別の詩、Chaplinesqueで述べた、チャーリー・チャップリンの主人公がかぶっている黒い山高帽、black hatと同じものを指している。あるいは、The Bridgeという別の詩集の冒頭にあるTo Brooklyn Bridge (このToは斜字体でなければならない。その理由は既に述べたので、わたくしの以前に掲載したTo Brooklyn Bridgeの解釈をご一読下さい。)、その詩の中の3連目の最後の行に、the same screenと歌っているものと同一物である。

それは、何かタンバリンのような形をしていて、あるいは山高帽のような形をしていて、円環の枠に柔らかな布をスクリーンとして掛けてある、そのような代物、男色者の性具。これをどのように使って、そこから複数の男が快楽を引き出すのか、わたしは一寸想像が難しいのだが、しかし互いに役割を演じ分けて、ホストとゲストになって、それぞれサービスを提供する側と享受する側になって、互いによろこびを分ちあうのだろう。その場合に、往々にして、男色者は、自らを中世の騎士に喩えて、その役割を演じ、ということは、ゲストになり、ホストである貴婦人からの、性的にはどういうものかはわからないが、褒美をもらうという、そのような劇を演ずるということも、思い出しておこう。

さて、Blackという色は、そのような色だとして、実はCraneは、それ以外に、whiteは勿論のこと、purple、gold、green、violet、amber、grey、sapphire、red、pink、blueなどという色彩を詩の中にちりばめていて、天体の場合と同様に、ここにも色に関するCraneの創造したシステムがあるものと思われる。Amberやsapphireは、色彩ばかりではなく、もうひとつある鉱物の名前のシステムと踵を接する色彩語だと思う。これらの言葉の体系については、また後日探究することにしたいと思う。

いつもやるように、まづ英語の不定冠詞、aまたはanを探してみよう。そうすると、次のようなものがあることに気付く。

a black man
a celler
a bottle
a roach
a crevice
a carcass

Aという不定冠詞は、その意味がAという文字の形から、男色者が尻を相手に向けているときの尻と脚の形であることから、またその複数形がAsであり、発音が尻の穴に同じであることから、この冠詞を冠したことばには、男色者としての意味が掛けられているということは、既に見て来た通りである。

そうすると、

a black manは、文字通りに罪深き男色者

a cellerは、男色者の地獄、秘密の場所

a bottleは、その形から、男色者のペニス

a roachは、ゴキブリであるが、しかしcockroachということのcock、即ちペニスが無い、言わば男としては性的に無能力の、そのような男、男色者という意味である。このように語を隠して顕すというやり方をCraneは行う。詩集The Bridgeの中の一篇、Van Winkleという題も、本来ならば、Rip Van Winkleの筈であるが、敢えてRipという男色に関わる言葉を隠して題としている。Ripとは、ペニスに歯を立てて快楽を与えると同時に、いささかの血も流れる位に傷をつけること。このVan Winkleという詩は、そういう男色の詩だよという含意をそこにこめている。このRipもCrane好みの言葉で、To Brooklyn Bridgeの第1連にも、Ripplingとして、また同じ詩の第6連には、Rip-toothとして出て来る。

a creviceは、男色者の割れ目、すなわち尻の割れ目とその穴のこと。
a carcassは、Websterによれば、

1: a dead body : corpse; especially : the dressed body of a meat animal
2: the living, material, or physical body (I hauled my carcass out of bed)
3: the decaying or worthless remains of a structure <(he carcass of an abandoned automobile)
4: the underlying structure or frame of something (as of a piece of furniture)

とあることから、性的快楽の絶頂を経験した後、死体のように横たわっている人間のことか、あるいは、そもそも男色者が人間としては、男性の能力もなく、さながら生ける屍だという意味。

そうするとこの詩の訳と解釈は、次のようになる。第1連から見て見よう。


【訳】

The interests of a black man in a cellar
Mark tardy judgment on the world’s closed door.
Gnats toss in the shadow of a bottle,
And a roach spans a crevice in the floor.

男色者の秘密の場所、地獄か地下牢ともいうべき場所にいる
男色者の興味は、世間から閉め出された、あるいは男色者が世間に対して締めて閉ざしたドアの上に、遅い判決を書きしるす。
ペニスの蔭で、蚊がさすような微妙なトス、ベニスを下から上へと
快楽を感じるように撫で上げる、そのことよ。そうして、
ベニスは、大きくなって、この地獄のフロアーで
男色者の尻の割れ目に突っ込んで、目一杯鰓(えら)も張り出すのだ。

【解釈】

男色者達は、快楽をむさぼり終わるごとに、ドアに回数を書き、そのよかった程度を何らかの印で書きしるしたものなのではないだろうか。それは、快楽の余韻を味わうのに忙しく、点数を書きしるすのは、つまり、判決を書く事は、それよりも遅れてしまうのだろう。
判決と訳したのは、Chaplinesqueにおいて、男色者の性的行為に、

our obsequies are, in a way, no enterpris.
とあるから。

男色者の世界の死刑執行は、男色者の流儀で、やりかたで(in a way)、ビジネスなのではなく、利害打算のない純粋なものであり、そのような形で男色者は性交の一回毎に、死ぬのだといっているから。このobsequiesは複数でもあるから、実際に、男色者の裁く側がいて、相手が絶頂のときに、死ねというのかも知れない。

Tossは、Craneの好みの言葉、他の詩でも出て来る(たとえば、同じ詩集のSunday Morning Appleの第5連の1行目)。大きく膨張した状態の亀頭を林檎と呼び、林檎Appleを、A peopleのneumonic(母音を約した縮約形)にして、男色者達という意味に掛け、その林檎をtossすると歌う。林檎をトスすると、実際に男色者達は言葉として使ったのだろう。

BLACK TAMBOURINE 1

Black Tambourineを読みたいと思う。これはHart Craneの詩集、White Buildingsの中の2番目の詩。White Buildingsとは題名がそのまま意味する通り、白い建築物である。一篇の詩を建築している。つまり、

Black Tambourineは、全部で3連からなる詩。これを

2階(1、3)
1階(2、2)

として設計し、構築した詩が、Black Tambourineということになる。この表示のしかたは、既に書いたTo Brooklyn Bridgeの読者は、おなじみのことと思う。

実際には、後述するように、この詩は、その歌い方からいって、

1階(1、3)
地階(2、2)

という構造にしている。

先回りをすると、地階とは、地獄という意味でもある。舞台は、cellar、地下室であり、牢獄である。

辞書はいつものようにWebster Onlineを。

この詩は、一度2005年1月31日と2月1日に論じたことがある。以前の解釈を読んでみたが、間違っているとは思わない。今回は少し別のアプローチをしてみよう。

この詩は何をうたっているのだろうか。まづ、普通にアメリカ人が読んで、こうなるという例を、In a Dark Timeという詩のwebsiteから持って来て、みることにしよう[http://www.lorenwebster.net/In_a_Dark_Time/2003/07/31/hart-cranes-black-tambourine/]。

The メinterestsモ of a black man are the interests of any human being: to live, to love, to find joy, but this representative of a race notes late judgment from a foreign culture that has closed its door to his desire to be recognized as an equal. In the minds of his white brothers his lot is caste either in the cellar with its gnats, circling in the shadows of old bottles above the roaches jumping cracks in the cement floor or the owner of a drum that jangles out a noisy rhythm.

Aesop, the Greek slave who wrote of animal fables, found heaven in the animal kingdom.
The black man, forlorn in his lowly dark place wanders メmid-kingdomモ between Aesopモ animals and his tambourine stuck on the wall, an equally damaging stereotype of the happy Negro.

A Negro with whom Crane worked in the basement storeroom of his fatherユs restaurant in Cleveland in the 1920s was the inspiration for this poem. To Crane, the man seemed placed in the mid-kingdom between beast and man. Aesop personified cute animals in his stories, white folk romanticized the Negro as a singing, strutting banjo playing, tambourine banging simpleton. This black man lives in the dark mid-kingdom, neither an animal nor a stereotype which sounds like a good thing and yetノ

The images freshen our understanding: gnats in the shadow of a bottle, roaches spanning a crevice in the floor, a tambourine stuck on a wall, a carcass quick with flies.

Could this poem apply to every foreigner we hear Rather, Jennings, and Brokaw spotlight each evening? to ourselves? Are we are all mid-kingdom, neither an animal nor a romantic stereotype but something in-between?

詩を訳してみよう。普通に訳すと、こうなる。ぼくは、表の訳と呼んでいる。普通に読んだら、生れる読みのことである。

The interests of a black man in a cellar
Mark tardy judgment on the worldユs closed door.
Gnats toss in the shadow of a bottle,
And a roach spans a crevice in the floor.

前回は、次のように訳した。

【表の訳】
とある地下倉庫に、ある黒い色した男が独り
その男の興味と関心が、
世界が閉じた扉なのか、それとも扉が閉じて世界を締め出したのか
その扉の上に、季節外づれの判決文をしるす。
吸血の藪蚊共が、ある壜の影の中で、休み無く、言ったり来たり、登ったり降りたり、
そして、一匹のゴキブリが、床の中のある割れ目に、身を伸ばして、架かっている。

上に引用したwebsiteの主催者は、

In the minds of his white brothers his lot is caste either in the cellar with its gnats, circling in the shadows of old bottles above the roaches jumping cracks in the cement floor or the owner of a drum that jangles out a noisy rhythm.

と読んでいる。これはアメリカ人だけに、黒人というと直ぐ人種差別と連想するところが、ぼくの理解と違っている。しかし、登場するものたちのことについては、理解は同じと見える。

しかし、これは一体、何をいっているのだろう。そう考えながら、裏の訳を試みてみよう。

Legend (5-2)【表裏の訳】

今日は、男女の色模様を詠ったcontextとして、読みます。その次が、男色の詩、その次が、詩人が詩作を
する詩、この詩作のcontextで2つの訳ができます。ですから、この最後の連で5つの訳ができるのです。5つのcontexts!

さて、迂回路を通りて、いよいよ第5連の最終訳に至る。

まづ、オフィスでの仕事の情景の歌として読みます。次に、男女の色模様を詠ったcontextとして、その次が、男色の詩、その次が、詩人が詩作をする詩として。

Then, drop by caustic drop, a perfect cry
Shall string some constant harmony, ―
Relentless caper for all those who step
The legend of their youth into the noon.

【表の訳】:オフィスの情景
そうして、上役に言われた通りにやってみると、なんとできるではないか
腐食性のインクの一滴一滴毎に、いやあこれは旨く行ったと誉められ、または
見習いの若者が自ら完璧だと声を上げると、その堕ちてゆく一滴毎に
定数を使っての会計原理に基づいた、法令と数学との調和が実現して、
企業の存続に一本の糸が通ることになり、
若者達の若さの伝説、あの人この人も若い頃にした艱難辛苦が後に長じて必ずや実り
偉くなったのだという伝説の階段を登り、その頂点を極めることになる
こういった若者達のための、いわば税金の控除もないような、情け容赦無く鍛えられる
若い芽に、一本の芯が通るのだ。

【表裏の訳】:男女の色模様
そうして、男女の交わりの、最高、完璧だという叫び声や啜り声が、
腐食性の一滴一滴毎に、即ち、そうやって射精した一滴毎に精を使い果たし朽ちて行き、死へと向かい、いつも変わらぬある調和、いつも安心して同じ快楽に至り、同じ快楽に耽ることのできる調和を、そして、その貫き貫く動作をもたらし、
若いということは素晴らしい、若いときにこの快楽を味わっておくのだ、歳をとってからでは遅いからという若さを讃えた伝説を、その行為のままに、一歩一歩快楽の階段を
上り詰め、ついにはその絶頂の頂点に至る、これらすべての人間達のための
控えることを知らぬ、眼一杯、精一杯に味わい尽くしたい、飽くことなき体力をもった
若い芽たちに、男女の交わりの、最高、完璧だという叫び声や啜り声が、その韻動とリズムを、更にまた、起こし、尽きることがないのだ。

【裏表の訳】:男色の詩1
さて、こうして、射精の一滴一滴毎に、その液体の腐食性から堕ちてゆき、人間として墜ちて行き、ああ最高だという叫び声を上げれば、それは、相手をもっと刺激して
絶えることなき、いつもリズムも一定の、一体と化するある調和を
ペニスで貫き通すことで、実現するのだが、
若い見習いの男の子達の伝説、あいつの尻は旨かった、こいつの尻もよかったぜというような、いわば若さの伝説というものを、実際に順序を追ってものにして、男色行為に及ぶと、それは、実際その通りで、一体と化して、快楽の階段を登り詰め、その頂点に至る
こういった人間達のための、すなわち男色者たちのための、貪り喰らいつき、余すところなく味わう若芽、入れると少しチクチクしていい感じの若者たちの、完璧の啜り泣きなのさ

【裏裏の訳】:男色の詩2
さて、僕は、こういうわけで、このような生活を日中はしているのだが、このように詩を書いていて、紙にインクの一滴一滴をたらし、我が身を腐食性の死と引き換えにしているのだが、つまりは、詩とはそのような生命と精力を蕩尽することであるのだが、この行為は、僕の男色の行為と裏表で、とても分かち難く、ああいい詩ができたという叫び声と喜びの声は、どうしてもいつも変わらぬ、自然との調和、すなわちあの男色者たちとのある調和を、韻律あるモーションと詩を、それぞれペニスと言葉による一本の糸として貫き、生と詩の織物を織る運命となるのだが、
僕は、詩人として、オフィスで見る若者達の若さが実際神と交わした契約を、成長して行き、ついには実現し、その頂点を極めるに至るこれら前途有為の若者達のために、
情け容赦無い、自らを決して容赦することなき詩人として、君達のための、真の教養ある、男色者として耕された、そうして棘ある人間として、このように、一滴一滴命を絞り、命を削って、この詩を書いているのだ。


さて、次回は、Black Tambourineに取り掛かりましょう。
明日のためのスケッチをしましょう。第1連のみを以下に引用します。既にもう不定冠詞を見ることができます。


BLACK TAMBOURINE

The interests of a black man in a cellar
Mark tardy judgement on the world's closed door.
Gnats toss in the shadow of a bottle,
And a roach spans a crevice in the floor.


それでは、また明日。

Legend (5-1)【表の訳1】

一番表層的な、それでもCraneの詩ですから、論理的に構築されていますから、上っ面という意味ではなく、
見た瞬間にだれでもが読むことができる詩の意味は、次のようなものではないでしょうか。これ以外にも、昨日
言いましたように、幾つもの表のcontextsがあります。しかし、こうなると、何が表で、何が裏かわからない。
勿論、それが相対的な言い方だということを承知で、今まで、色分けをし、識別するために、使ってきた言葉
なのです。それでは、参ります。

〔表の訳1〕

そういうわけで、そうすれば、そうやってペン先をインク壷に浸して、腐食剤、焼灼剤の入ったインクの
一滴一滴で、数字を記入する度に、見習い中の若者が、やったぜと叫び、上役がやったね、完璧だと
いう叫び声を上げ、その歓喜の声は、ある、いつも間違いの無い一定の、ビジネスの基礎たるマトリクスの
輝くある論理、厳しい妥協なく成果を求め、求められることに、絶えず調和して、企業の存続する限り、
終始一貫矛盾無く、帳簿の上で、一本の糸で、つまり、時間の中でその存在の正しさが
法律に則っているということを証明しなければならないのだが、それがconstantの社会における意味、
不断の決意の維持と、仕事と企業への忠誠心ということなのだが、そうやって、そうしてどうなるか、
そのような歓喜が、若いときに、そうして苦労をしておけば、後で必ず実りの時期がやってきて、
出世し、偉くなって、いづれは太陽が真昼になるように、その頂点を極めることができるのだという
若者達の信じている若さ故の神話、また上役が口にするその神話の階段を登って偉くなる、
こういった人間達にとっての、いわば、後になり大きくなって、成熟するときの、これらの苦労は、
味のある、人間の香辛料、つまりは無駄な金は支出しまいと税金の控除計算もし、そうして法律に違反せず、
それどころか合法的な行為であることを堂々と白昼証明する、
決して強盗などの犯罪行為ではない行為を可能にする、そのような棘ある香辛料
(場合によっては金儲けの狂態を演じるかも知れないが、いやそれをしも香辛料とやいはむや)となるものなのだ。


〔註釈〕
これだけでも、まだ、とても語釈にある英語の1語の持つ概念とその組み合わせ、すなわちpreom、そのpower、
その累乗の力を、とてもとても、日本語に仕切れない。幾つでも、幾らでも、1文をそこから汲み取ることが
できるのです。幾らでもvariety、即ち数多性を汲むことができる。これが、Crane最晩年の断片的詩、To Conquer
Varietyの詠った、血の滲む様な修練の結果手に入れた能力なのです。

果たして、翻訳は可能であるか?この問いの前に、僕の答えは、こうしてみると、ドイツ人のいうJaでありNein
である、ヤインだ。いや、しかし、実際に可能だというべきだろう。このように、理解し、解釈し、敷衍し
(そうか、翻訳とは敷衍でもあるのだ)、伝達できているわけだからだ。

このCraneの翻訳に僕が使っている文法の知識は、高校生の英語の文法の域を出ない。だから、それで、十分に
Craneを理解することができる。だとしたら、それは何故なのか。語釈の英語を読みながら、以上考えたところを
記す。

caperという言葉で、金儲けへの狂奔、性的男色のみならず、この連の「a perfect cry」の「perfect」ということから、
成熟して(未熟、性的に分かれる前の状態ー実はこれがCraneの憧れの、原初の、unspentの、uncoiledの、
un-という接頭辞の有する実にeroticな世界、この未熟から)次の段階へと進んだ男女という性差のある男と女の
性的な狂態、こういったことを掛け合わせているのです。それから、密やかに自分自身の詩作の秘密をまでも。

これらのことを一挙にひとつの、あるcontext、いやなるほど、a context or some contextだ、これがCraneの
いいたかったことなのだな、このようなcontextでいうことが、変換すること、すなわち理解し、理解した後の
解釈を人に伝えることが難しい。翻訳とは何か。Craneのいう沈黙であるか?考えられよ。詩とは何かを。もはや、
女色と男色の域を超えんかな。


〔語釈〕
(1) caper
Main Entry: 1ca·per
Pronunciation: 'kA-p&r
Function: noun
Etymology: back-formation from earlier capers (taken as a plural), from Middle English caperis,
from Latin capparis, from Greek kapparis
1 : any of a genus (Capparis of the family Capparidaceae, the caper family) of low prickly shrubs
of the Mediterranean region; especially : one (C. spinosa) cultivated for its buds
2 : one of the greenish flower buds or young berries of the caper pickled and used as a seasoning or
garnish

(2)relent
Main Entry: re·lent
Pronunciation: ri-'lent
Function: verb
Etymology: Middle English, to melt, soften, from Anglo-French relenter, from re- + Latin lentare
to bend, from lentus soft, pliant, slow -- more at LITHE
intransitive senses
1 a : to become less severe, harsh, or strict usually from reasons of humanity b :
to cease resistance : GIVE IN
2 : LET UP, SLACKEN
transitive senses, obsolete : SOFTEN, MOLLIFY
synonym see YIELD

(3) relentless
Main Entry: re·lent·less
Pronunciation: -l&s
Function: adjective
: showing or promising no abatement of severity, intensity, strength, or pace : UNRELENTING
(relentless pressure) (a relentless campaign)
- re·lent·less·ly adverb
- re·lent·less·ness noun


(3.1) abadement
Main Entry: abate·ment
Pronunciation: &-'bAt-m&nt
Function: noun
1 : the act or process of abating : the state of being abated
2 : an amount abated; especially : a deduction from the full amount of a tax

(3.2) unrelenting
Main Entry: un·re·lent·ing
Pronunciation: -'len-ti[ng]
Function: adjective
1 : not softening or yielding in determination : HARD, STERN (an unrelenting leader)
2 : not letting up or weakening in vigor or pace : CONSTANT (the unrelenting struggle)
- un·re·lent·ing·ly /-ti[ng]-lE/ adverb

(3.3)constant
Main Entry: 1con·stant
Pronunciation: 'kän(t)-st&nt
Function: adjective
Etymology: Middle English, from Middle French, from Latin constant-, constans, from present
participle of constare to stand firm, be consistent, from com- + stare to stand -- more at STAND
1 : marked by firm steadfast resolution or faithfulness : exhibiting constancy of mind or
attachment
2 : INVARIABLE, UNIFORM
3 : continually occurring or recurring : REGULAR
synonym see FAITHFUL, CONTINUAL
- con·stant·ly adverb

Legend (4); (2/2)

Then, drop by caustic drop, a perfect cry
Shall string some constant harmony, ―
Relentless caper for all those who step
The legend of their youth into the noon.

さて、今日は第5連、この詩の最後の連です。

その前に、昨日の第4連をもう少し訳し込みます。語釈に書いたことが、詩の
訳の中に反映(それこそ、mirroring)されていませんでした。それは、bleeding eidolonのbleedingの意味を考慮した、次の表の訳です。

[表の訳]
あっちが2倍ならば、こっちも2倍だろうが、こんなことも解らんのか
(まただ、どこにもありきたりの、観光地の土産物みたいな上役が
スパスパ葉巻きを吸いながら、あるいはハバナ辺りの土産のパイプでコツコツ
机を叩きながら、お前がこういうミスをするからこうして、
その度にお金が出て行き、お前がいるだけで赤字になるのだ、早く一人前になれと、そう言うものだから、かわいそうに、
若者のこころも傷付いて、いわば血を流している)、それを、また何度も繰り返して
計算するんだ。答えが出るまで。この計算の、誰にも自明な論理が、鏡に映る姿が
現実のものと寸分違わぬと誰もが信じて疑わないのと同様に、つまり、それが現実の
経営状態を精確に映しているのだということは、そもそも囁いて声に出して言うことさえもするまでもなく、
黙っていても明らかなのだから、この昼日中の論理の解答が得られるまで、
それまで、何度もこの論理の計算を繰り返せば、それでいいのさ。


さて、今日の翻訳です。

いやあ、これは猛烈に複雑だ。まづ、もって、時間が必要です。
Webster Onlineの引用をのみ本日は、掲げます。これから、どのような意味を汲み取るか、読者諸賢は考えられたし。私の翻訳と比較をしましょう。

男色の意味に、男女の性的な営みの意味があり、更に、昼間の論理の完成の喜びもあり。それから、この連のどこかにあったが、税金の控除の計算をしているのです。
言葉を辞書でひいていて、この連か、前の連かのいづれかに潜んでいた計算の目的です。それが、まだ僕の今までの翻訳には出ていません。

それに、constant harmonyのconstantは、数学の定数という意味のあることから、matrix、つまり、twice and twiceに掛けて、昼と夜の論理、そうして、perfect cryということから、男と男、男と女の性的な営為にかけている。それ以外にも、下記の語釈の用語とじっくりにらめっこしなければなりません。まだまだ、あるのです。

しかし、なんという詩でしょうか。しかし、更にしかし、とてつもなく楽しい、詩。

〔表の訳〕
そういうわけで、そうすれば、そうやってペン先をインク壷に浸して、腐食剤、焼灼剤の入ったインクの一滴一滴で、
数字を記入する度に、やったね、完璧だ、という叫び声が上がり、それは、ある、いつも間違いの無い一定の、輝く論理に調和して、その調和に、(以下明日に続く)

〔裏の訳〕

〔註釈〕
(1)

〔語釈〕
(1) caustic
1caus・tic
Pronunciation: 'kos-tik
Function: adjective
Etymology: Latin causticus, from Greek kaustikos, from kaiein to burn
1 : capable of destroying or eating away by chemical action : CORROSIVE
2 : marked by incisive sarcasm
3 : relating to or being the surface or curve of a caustic
- caus・ti・cal・ly /-ti-k(&-)lE/ adverb
- caus・tic・i・ty /ko-'sti-s&-tE/ noun
synonyms CAUSTIC, MORDANT, ACRID, SCATHING mean stingingly incisive. CAUSTIC suggests a biting wit (caustic comments). MORDANT suggests a wit that is used with deadly effectiveness (mordant reviews of the play). ACRID implies bitterness and often malevolence (acrid invective). SCATHING implies indignant attacks delivered with fierce severity (a scathing satire).

(2) drop
Main Entry: 1drop
Pronunciation: 'drap
Function: noun
Usage: often attributive
Etymology: Middle English, from Old English dropa; akin to Old High German tropfo drop
1 a (1) : the quantity of fluid that falls in one spherical mass (2) plural : a dose of medicine measured by drops; especially : a solution for dilating the pupil of the eye b : a minute quantity or degree of something nonmaterial or intangible c : a small quantity of drink d : the smallest practical unit of liquid measure
2 : something that resembles a liquid drop: as a : a pendent ornament attached to a piece of jewelry; also : an earring with such a pendant b : a small globular cookie or candy
3 [2drop] a : the act or an instance of dropping : FALL b : a decline in quantity or quality c : a descent by parachute; also : the people or equipment dropped by parachute d : a place or central depository to which something (as mail, money, or stolen property) is brought for distribution or transmission; also : the act of depositing something at such a place (made the drop)
4 a : the distance from a higher to a lower level or through which something drops b : a fall of electric potential
5 : a slot into which something is to be dropped
6 [2drop] : something that drops, hangs, or falls: as a : a movable plate that covers the keyhole of a lock b : an unframed piece of cloth stage scenery; also : DROP CURTAIN c : a hinged platform on a gallows d : a fallen fruit
7 : the advantage of having an opponent covered with a firearm; broadly : ADVANTAGE, SUPERIORITY -- usually used in the phrase get the drop on
- at the drop of a hat : as soon as the slightest provocation is given : IMMEDIATELY
- drop in the bucket : a part so small as to be negligible

(3) perfect
Main Entry: 1per・fect
Pronunciation: 'p&r-fikt
Function: adjective
Etymology: Middle English parfit, from Old French, from Latin perfectus, from past participle of perficere to carry out, perfect, from per- thoroughly + facere to make, do -- more at DO
1 a : being entirely without fault or defect : FLAWLESS (a perfect diamond) b : satisfying all requirements : ACCURATE c : corresponding to an ideal standard or abstract concept (a perfect gentleman) d : faithfully reproducing the original; specifically : LETTER-PERFECT e : legally valid
2 : EXPERT, PROFICIENT (practice makes perfect)
3 a : PURE, TOTAL b : lacking in no essential detail : COMPLETE c obsolete : SANE d : ABSOLUTE, UNEQUIVOCAL (enjoys perfect happiness) e : of an extreme kind : UNMITIGATED (a perfect brat) (an act of perfect foolishness)
4 obsolete : MATURE
5 : of, relating to, or constituting a verb form or verbal that expresses an action or state completed at the time of speaking or at a time spoken of
6 obsolete a : CERTAIN, SURE b : CONTENTED, SATISFIED
7 of a musical interval : belonging to the consonances unison, fourth, fifth, and octave which retain their character when inverted and when raised or lowered by a half step become augmented or diminished
8 a : sexually mature and fully differentiated (a perfect insect) b : having both stamens and pistils in the same flower (a perfect flower)
- per・fect・ness /-fik(t)-n&s/ noun
synonyms PERFECT, WHOLE, ENTIRE, INTACT mean not lacking or faulty in any particular. PERFECT implies the soundness and the excellence of every part, element, or quality of a thing frequently as an unattainable or theoretical state (a perfect set of teeth). WHOLE suggests a completeness or perfection that can be sought, gained, or regained (felt like a whole person again after vacation). ENTIRE implies perfection deriving from integrity, soundness, or completeness of a thing (the entire Beethoven corpus). INTACT implies retention of perfection of a thing in its natural or original state (the boat survived the storm intact).

(4) cry
Main Entry: 1cry
Pronunciation: 'krI
Function: verb
Inflected Form(s): cried; cry・ing
Etymology: Middle English crien, from Old French crier, from Latin quiritare to make a public outcry, perhaps from Quirit-, Quiris, name for the Roman citizen
transitive senses
1 : to utter loudly : SHOUT
2 archaic : BEG, BESEECH
3 : to proclaim publicly : ADVERTISE (cry their wares)
intransitive senses
1 : to call loudly : SHOUT
2 : to shed tears often noisily : WEEP, SOB
3 : to utter a characteristic sound or call
4 : to require or suggest strongly a remedy or disposition (a hundred things which cry out for planning -- Roger Burlingame)
- cry havoc : to sound an alarm
- cry over spilled milk : to express vain regrets for what cannot be recovered or undone
- cry wolf : to give alarm unnecessarily

(5) string
(5.1) string (v)
Main Entry: 2string
Function: verb
Inflected Form(s): strung /'str&[ng]/; string・ing /'stri[ng]-i[ng]/
transitive senses
1 a : to equip with strings b : to tune the strings of
2 : to make tense : key up
3 a : to thread on or as if on a string b : to thread with objects c : to tie, hang, or fasten with string d : to put together (as words or ideas) like objects threaded on a string
4 : to hang by the neck -- used with up
5 : to remove the strings of (string beans)
6 a : to extend or stretch like a string (string wires from tree to tree) b : to set out in a line or series -- often used with out
7 : FOOL, HOAX (cowboys stringing tenderfeet with tall tales -- Carl Van Doren) -- often used with along
intransitive senses
1 : to move, progress, or lie in a string
2 : to form into strings
3 : LAG 3

(5.2) string (n)
(6) constant
(7) harmony
(8) youth
(9) noon

Legend (4); (1/2)

Twice and twice
(Again the smoking souvenir,
Bleeding eidolon!) and yet again.
Until the bright logic is won
Unwhispering as a mirror
Is believed.

[表の訳]
あっちが2倍ならば、こっちも2倍だろうが、こんなことも解らんのか
(まただ、どこにもありきたりの、観光地の土産物みたいな上役が
スパスパ葉巻きを吸いながら、あるいはハバナ辺りの土産のパイプでコツコツ
机を叩きながら、そう言うものだから、かわいそうに、若者のこころが傷付いて、
いわば血を流している)、それを、また何度も繰り返して計算するんだ。
この計算の、誰にも自明な論理が、鏡に映る姿が現実のものと寸分違わぬと誰もが信じて疑わないのと同様に、つまり、それが現実の経営状態を精確に映しているのだということは、そもそも囁いて声に出して言うことさえもするまでもなく、黙っていても明らかなのだから、この昼日中の論理の解答が得られるまで、それまで、何度もこの論理の計算を繰り返せば、それでいいのさ。

[裏の訳]
2度やろうぜ、またその次も
あるいは、あっちが2人ならば、こっちも2人で組もうぜ
こうして、鏡を前にして、同じ姿の男同士が、丁度合わせ鏡のようにしているように(そうやって、また、あの一時の避難場所の、安息の田園の、しかし、我が身の所有するすべての能力も財産も全て投げ打ち、奉仕しても悔いの無い、あの、penisを口に銜(くわ)えて吸い、大きくしていい気持にしてくれる、あのお土産の葉巻きと、そうして、どこかから手土産にと連れて来たのか、その若者の男色で流す赤い血を)、そうして、何度も繰り返そうぜ。
あの輝く論理、つまり、曇りの無い鏡の論理、夜を白昼に変貌させる論理、twice and twice、cellの論理、詩作の原理が、男色の合わせ鏡の、ホストとゲストの役割交代の、同じスクリーンを共有して行うあの自慰行為の、それは、同じ姿であることがお互いに愛し合い、信じあうことができるから、男と女が情を交わすのとは違い,余計な見かけの睦言も不要で、ただただ沈黙して、同じ論理を繰り返して、ついにはこの男色の論理が勝って自分のもの、僕達のものになるまでは。

[註釈]
(1)To Brooklyn Bridgeにあったように(第4連と第8連)、「ー」という記号は、対象の詩化とともに、ひとの夜明けがやって来るのでした。前の連で「ー」とありますので、この連では、オフィスの様子が描かれています

(2)また、To Brooklyn Bridgeでは(第3連と第9連)、againとあると、それは、その言葉とともに、また仕事の日常へとと詩は向かい、世俗のさわめきと騒音が聞こえるのでした。この連でも、やはり、次の解釈するような、ウオール街のオフィスの日常のざわめきと騒音、Chaplinesqueでいうならば、"A grail of laughter"や"all sound of gaiety and quest"が聞こえるのです

(3)twice and twiceとは、訳したように、あっちが2倍ならば、こっちも2倍という意味です。つまり、会社の帳簿の付け方の、その基礎にある数学の計算を言っているのです。カラム、columnが2倍になれば、ロー、rowも2倍になるし、それは論理的な必然なので、当然、そうしたものだとして、記帳しなければならないのに、それをしないで、叱られる、そのような語勢で、若者(eidolon)が注意されている

実は、この詩も、"Twice and twice"で出来ている。"Twice and twice"でwhite buildingされている。なんて野郎だと、僕はまた声を出す。To Brooklyn Bridgeと同じに、階層化したのです。次のように

2階(1、5)
1階(2、4)
0階(3、3)

この詩の階層はまだ単純で、2階建て、0階を入れても3階立ての建築物です。To Brooklyn Bridgeは、地下の地獄を勘定すれば、5階層、すなわち、5次元の詩です。実は、僕が構想していた散文が5次元でした。それを、もうやっている奴がいたなどということは、驚きであったのです。しかも、詩の領域で。また、しかし、さもありなむと思います。日本語でこれをどうやって行うのか。詩人達に聞いてみたいと、僕は、密かに、思うのです

(3)the smoking souvenirとは、上役が、どこかのお土産に貰ったか、買ったかした、パイプだということでもいいし、或は、煙草を吸いながら、仕事振りを検査するそのような(reminderとしての)男だと思ってもいいと思います。前者ならば、机をコツコツ、そのパイプでする音が聞こえます。"Twice and twice"といいながら、それに合わせてコツコツと

あるいは、このsouvenirに係る、smokeには、a column of smokeという意味がありますので、煙りのカラムを吹かしてという言葉遊びもあると思います。そうやって、おい、カラムとローがあるだろう。これが、計算の基礎、ビジネスの基本だといっているのです。

(4)Bleeding eidolonとは、そうやって、叱られて、こころが傷付き、言わば血を流している若者の姿を言っています。勿論、これは、表の意味。裏の意味は、男色で、A rip-teeth of acetylenで血を流している若者の意味です。つまり、実際にbleedingしているのです。

(5)bright logicとは、このように、昼間仕事をする社会では、疑いようの無いほど確かな論理、だから、昼間の論理、だれもが認める論理という意味です。これは、次の連のthe noonに係っています。

(6)Unwhisperingとは、従って、鏡に映る自分の姿、人の姿が当人であると寸分違わぬという意味で、囁いて教えることすらない自明のことだという表の意味と、これに対して、男色の行為の歓喜から、To Brooklyn Bridgeならば、"immaculate sigh of stars"といったときの歓喜極まって声にならぬ最高の声、すなわち、沈黙のことを指しています。囁くことすらしないのです。そもそも、声に出すなどということは、問題にならないのです。

また、男の鏡には男が映り、女が映ることがありませんから、unwhisperingとは、男と女で性行為をするのとは違って、男同士では、そんな余計な睦言はいらない、そのような言葉も不要で、ただただ沈黙があるのだ、それが幸せなのだという、そのような意味もこめられています。それは、眞のコミュニケ-ション、packageを開けるのでは無く、parcelの包まれるコミュニケーション。

(7)the smoking souvenir
語釈も御覧下さい。Smokingとは、もちろん、裏の意味は、balooningの意味。To Brooklyn Bridgeの第5連にあるbalooningです。男性のpenisをすぱすぱ葉巻きか煙草のように吸って、それに火を点けるという意味、大きくして感じさせるという意味です。帆布の繊維でringを作り、penisの周りに付けて、ballooningをする。どうも、そのようです。詳しい方がいれば、だれか教えてください。

(8)Legend
この題名も、こうして第3連まで読んで来ると、これは、男色者の願う、神との契約という意味であることが明らかになりました。これが、Hart Craneの詩の重要な主題のひとつ、いや、根幹にあるものです。すべてを、自分自身を含め、つまり、自分の死と引き換えに、願う契約の実現、これが繰り返し、Chaplinesqueにしろ、To Brooklyn Bridgeにしろ、このLegendにしろ、繰り返し、again、現れる、Craneの歌の主旋律です。これが、昨日の【問い】に対する、僕の答えです。

そうすると、この詩の題名も、伝説だけでは表の題。裏の題は、男色者の契約という題になります。

以下に、僕がこの詩を訳すに当たり、Websterで調べた言葉をあげます。省略はいつもの通り、1万文字の制限故。

[語釈]
(1) twice
(2) smoke
(3) souvenir
(3.1.1) endowment
(4) bleed
このbleedは、実際に裏の意味では、To Brooklyn Bridgeにあったように(第6連)、男色でpenisに歯を立てるので血がでる意味と、表の意味は、実際に事業として赤字で、血がでるというビジネスの言い廻しの慣用句と、また、更に後者の意味では、そうやって、上役に叱られて、傷付き、いわば血が出ていると言うオフィスの若者の心の状態を言っています。

(5) eidolon
 Eidolonは、次の連の、caper, youthと縁語です。若者のこと。しかし、その若さ故に、はかない、幽霊の如き。他方、しかし、それ故にまた魅了するアイドル。To Brooklyn Bridgeならば、some page to be filed awayのpage、給仕職の10代の若者。男色の対象足り得るお稚児さんを言っています。
Idolには、Idyllという意味のあることから、この男色の世界も一時の田園詩、都会を離れた安息の場所なのです。そうして、すべてを投げ打ってでも献身に値する対象でもある。

(5.1) idol
(5.1.1) impostor(5.2) phantom
Phantomはapparitionであった。Ghostとphatomは違う。
Craneの最晩年の詩、To Conquer Varietyの最初の1行にあるghostは、phatomではなく、実体がある。
ということは、To Brooklyn Bridgeの第2連のapprationalだと見る男色者の眼は、言葉の意味のみが明らかな世界、この世はというべきか、眼前の現実は、うつつ、虚ろ、実質的な存在ではないという、この辞書にある通りの意味であることになる。Ghostを、僕が、亡霊と訳したのは、凄まじさがあるから。Phantomは、幽霊。はかないから。

(5.3) ideal
このidealということから、eidolonは、次の連のa perfect cryのperfectに係る縁語です。a perfect cryは、オフィスの若者が、男色行為に際して上げる、言葉にならぬ歓喜の言葉、すなわち、完璧な叫び声とは、沈黙、silenceを言っています。これが、裏の意味。表の意味は、この連にあるような、twice and twiceの計算が、完璧にできた!という若者の叫び声か、上役の、完璧にできたじゃないか、という叫び声のいづれかです。

さて、こうして考えて来ると、第1連のsilenceにも、このように2つの意味が掛けられていることになります。

(6) bright
Twice and twiceという論理、logicは、これは、matrixの論理なのです。The Broken Towerという詩で、the martix of the heart、Craneが、心臓のマトリクスといっているものの原理が、これです。その要、本質にあるものとことの名前は、cellというのです。これは、C 33と題した17歳のときの最初の
公にした詩の題名が、Oscar Wildの男色故の投獄の独房の番号であったということと、いや、そうではなくとも、やはりTo Brooklyn Bridgeの第5連を読み直して下さい。そうすると、そこは一般的な表現で男色の地獄。そしてまた、このような思考と詩作のマトリクスのcellとの、ふたつの意味も掛け合せているのです。

Cellがなければ、詩作はできない、しかし、cellは、同時に牢獄である。あっちが2倍ならば、こっちも2倍なのです。おわかりでしょうか。

昼間のビジネスの論理としても昼間の、そして文字どおりに輝かしい論理。他方、夜の論理としては、男との女のコミュニケーションとは異なり、何も睦言を囁き声で交わす必要など最初から毛頭ない、モーションに合わせるだけで意思疎通のできる、男と男の素晴らしい、輝かしい、つまり決して曇ることの無い論理のことが言われています。

(7) logic
Logicがlegendであるということは重要です。これは、実は、この題名は、伝説と言う一語では、納まりがつかないのです。Legendとは、所有権の移転や譲渡を伴う、あるいは使用の許諾のための、契約概念の一種です。ここでも、To Brooklyn Bridgeと同じ、男色者と神との契約書、To Brooklyn Bridgeでは、気狂い騎士が橋の欄干から手にしてウオール街に堕ちて行った、また落ちていった、そのときの契約書です。

(7.1) legend
(7.1.1) caption"the part of a legal document that shows where, when, and by what authority it was taken, found, or executed"からも、legendは,契約概念の一種です。たとえば、あなたが使うパソコンの為のソフトウエアを購入したとして、そこにある契約書は、legendです。また有価証券に裏書きしますが、そこに書いてある契約条件はlegendです。所有権の移転や譲渡に関係する契約書のことをlegendというのです。それに、そもそも" the heading especially of an article or document : TITLE"ということから、
(つづく)

Legend (3)

It is to be learned―
This cleaving and this burning,
But only by the one who
Spends out himself again.

今日はこの連を翻訳します。しかし、その前に、もう既にやはり、これはTo Brooklyn Bridgeで見たような同じ思想で構築された詩であるからには、まづ第1連に戻って、表の訳と裏の訳を訳して、それから、第3連に入ります。
僕は、率直にいいます、このひとの詩をこうして訳していて、とても幸せだ。それは、理解しているという確信、即ち疑いがないということと、それを人が疑い得ないということを知っているということから来る安心感ではないかと思います。まだ、だれとも、この詩と翻訳を巡って議論をしたことが、僕はありません。しかし、あなた、ご来訪多謝、詩とは一体何でしょうか。
それは、恰もこの詩にあるように、詩が詩であるだけで信じられている、その沈黙があるからだと思います。

さて、参ります。

As silent as a mirror is believed
Realities plunge in silence by . . .

〔表の訳〕
ある鏡があって、それが鏡であるという理由で、そのまま
信じられている、何故ならそのままその人の姿を映しとるから
だから鏡とは何かという議論なく、
静かに、沈黙しているのと同様にして、
数々の現実が、byという前置詞と共に
本物の沈黙の中に闖入する。そうして. . .

〔裏の訳〕
男色の鏡、即ち、自分の姿をそのまま相手に映してくれる
スクリーン、男色の男が互いに二人で共有する用具が
それがそのまま安心させてくれ、男同士であるが故に
(男と女の場合とは異なり)互いに言葉を交わすことがなく
互いに信じ会うことができるわけだから
その沈黙の程度に応じ、その深浅に応じて、
数々の現実が、そのような神聖なる沈黙の中へと
闖入し、また海の上を走る帆船が舷側を海に浸して
また水夫や船員が舷側に海の波や水を掛けて、
舷側を洗うのと一緒に、その男色の沈黙の罪を洗うために
数々の現実が、その沈黙の中へと、闖入し、無理やりに強いられて
灼熱の肛門性交が行われる. . .

何故このように訳したのか、その説明は、後日また一冊のebookにまとめたときに、改めて、書く事にします。ご了解されよ。
まてないという方は、今までこのブログに連載したTo Brooklyn Bridgeをお読み下さい。

さて、第3連の訳に参ります。

It is to be learned―
This cleaving and this burning,
But only by the one who
Spends out himself again.

〔表の訳〕
僕達人間の、この鏡に対する、疑うことなき信頼感、忠誠心と
この灼熱の思いは、
何があっても、また再びの勇気を以って、
自分自身の持てるものすべてを蕩尽し、人のために尽くす覚悟のある
(身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ)
人間によってのみ、学び得るものなのだと、道徳や倫理の本には書いてある通りだ。

〔裏の訳〕
この、自分の姿と瓜二つの、男色の相手との交情への
疑うことなき忠誠心と、そうして、その灼熱の肛門性交の
燃える思いは、いや、しかし、
解った、ようしもう一回やろうぜと、自分自身が消尽するまで射精する
そういう精力的な人間によってのみ、習得されるべきものなのさ。


〔註釈〕
(1)"It is to be learned"は、既にTo Brooklyn Bridgeの第2連にそうあったように、契約書の用語、あるいは法令の用語。これをそのまま、詩人はdally or tallyしているのです。Bloomのいうならば、Whitmanという男色詩人の伝統に則って、しかし、更にCrane流に一歩を進めて。
それで、敢えて、道徳や倫理の本と、文字にしたのです。僕の、この連載の訳は、Craneの思想を伝えるためなので、解り易い、散文的な訳を採用します。すなわち、何故かと問われて、その用語の選択の根拠が常に明確であるようにしておきたのです。

(2)spend out or spendというときには、Craneは、いつも射精の形象と同時に、そのまま死んでしまう、すべての力を使い果たし、消耗して死んでしまうという意味を、一緒に詠っています。
どの詩でもそうです。そう思って、お手もとの詩を読んで御覧なさい。To Brooklyn Bridgeならば、第4連の、

Some motion ever unspent in thy stride、―

これが、そうでした。

Someは、same, homosで、同性愛の男色者の暗号、あるいは符号であり、strideは、penisの抽送を意味していることも。それも、ホストのリズムにあわせて、ゲストが同期するという。

裏の訳は、だから、お前、聖なるブルックリン橋よ、お前のそのホストとしての、精力絶倫の、何度射精しても尽きることのない、リズムと出し入れの、そのモーション、すなわち、男色の肉体の動き、という意味でした。

【問い】
ここまで訳してきて、何故題名は、Legendとしたのか、それと鏡の関係は如何にと、これが立てるべき問いです。
考えて見ましょう。何故、詩人は、詩を伝説と題し、鏡で詠い始めたのかという問いです。

実は、この問い自体が、Craneの詩を理解するための問い、あなたへの問いなのです。なぜならば、この問いに答え得たら、あなたはCraneの詩の何たるかを知ることができるからです。
つまり、本質的な問い、それが、これが、その一つです。

今日の結局詩:
結局
詩とは
対応関係の明確化に
あるのだ。
(何と何の?)

〔語釈〕
(0) mirror
ror
Pronunciation: 'mir-&r
Function: noun
Etymology: Middle English mirour, from Old French, from mirer to look at, from Latin mirari to wonder at
1 : a polished or smooth surface (as of glass) that forms images by reflection
2 a : something that gives a true representation b : an exemplary model
- mir・rored /-&(r)d/ adjective
- mir・ror・like /-"lIk/ adjective


鏡の定義
鏡とは、反射または反映によって、形象を形成する、(ガラスとしてある、つまり透明なる)磨かれ又は円滑な表面、すなわち、そこに真実の対応関係の全体(representation)を
与える何ものか、具体的に現実に応用の利くモデル、または模型を言う。

こうしてみると、モデルということから、少年ならば、プラモデルの模型を、少女ならば、リカちゃん人形のまま事の世界を思えば、よりわかり易いのではないでしょうか。
そうして、何故人間は、そのようなミニチュアの世界、現実そっくりな模型の世界、細密画の世界を愛するのか、考えてみることは、今近代文明の鬼子というべきアメリカ合衆国が、中近東、すなわちイスラム文明と戦争をしているのかを考える、大切な契機になると、僕は思います。


(1)cleave
Pronunciation: 'klEv
Function: intransitive verb
Inflected Form(s): cleaved /'klEvd/; or clove /'klOv/; also clave /'klAv/; cleaved; cleav・ing
Etymology: Middle English clevien, from Old English clifian; akin to Old High German kleben to stick
: to adhere firmly and closely or loyally and unwaveringly
synonym see STICK

このcleaveには、くっついて離れないということから、忠誠心のあるという外延があります。また、そもそもその人の権利を放棄しないでという意味も。
これも契約用語です。ですから、Craneは、いつも自分の男色が法律に違反する、反社会的な、公序良俗に違反しているということを、To Brooklyn Bridgteの第2連を読むと、言われていることが判りますので、どの詩を読んでも、この社会性を反語的に有しています。だから、Craneの詩は、いづれも、ユートピア、理想の社会を思い描いているのです。それが、Legendであり、To Brooklyn Bridgeであり、Garden Abstractであり、その他の詩の題名になっているのです。

(2) spend
Pronunciation: 'spend
Function: verb
Inflected Form(s): spent /'spent/; spend・ing
Etymology: Middle English, from Old English & Old French; Old English spendan, from Latin expendere to expend; Old French despendre, from Latin dispendere to weigh out -- more at DISPENSE
transitive senses
1 : to use up or pay out : EXPEND
2 a : EXHAUST, WEAR OUT (the hurricane gradually spent itself) b : to consume wastefully : SQUANDER (the waters are not ours to spend -- J. R. Ellis)
3 : to cause or permit to elapse : PASS (spend the night)
4 : GIVE UP, SACRIFICE
intransitive senses
1 : to expend or waste wealth or strength
2 : to become expended or consumed
3 : to have an orgasm
- spend・able /'spen-d&-b&l/ adjective
- spend・er noun

Craneは、この動詞を使うときには、いつも男色の行為で射精をし、疲労困憊するほど、エネルギーを消尽するという裏の意味で使っています。
これは、To Brooklyn Bridgeでもそうでした。もちろん、これら以外の詩においても同様です。
それは、自分の持っている才能から何から、財産から、すべてを捧げて、つまり、絶対的に安心して、そうするということを、性的な含意とともに、言っているのです。